Fallout4~Tradecraft 前編(Railroad)

Fallout4~Tradecraft 前編(Railroad)

「手荒い歓迎の事は気にしないで欲しい」
「いや、リーダーが用心深くなっていただけだろ。俺は気にしていないよ」
「それはありがたい」

ディーコンと名乗る男が俺の面倒を見てくれる・・・そうだ。

「大丈夫、あなたの身元は保証した。誰も撃たれていない。俺たちをインスティチュートに売らないなら、息子さんのことは協力しよう」
「・・・何故、保証した?」
「物事を知るのが俺の仕事でね。あなたの実績を見れば実力があることは明白だ。危険な敵もしくは貴重な協力者だ」

そう言うとディーコンは改めて、俺を上から下まで眺めて頷いた。
「なんだ?」
「いや、俺の目に狂いはないな、と自画自賛していただけだ」
ところで、と話を変える。

「一人じゃできない大きな仕事がある。2人なら完璧だ。あなたが組織に協力し、味方だとわからせることができればデズデモーナも納得してくれる」
「どんな仕事だ?」
「まぁ、ここで話をするのもなんだから・・・。現地集合でいこう。古い高速道路のふもとで落ち合おう」
「わかった」

ディーコンが地図に印をつけてくれた。レキシントンの近くか・・・。
別々に現地へ向かうことにする。随分と用心深い。

高速道路のふもとで・・・ディーコンか?変装したディーコンが待っていた。

「ディーコン、あんたか?」
「これは俺のゴミ山だ、くそ野郎。下がってろ。どうだ、うまいだろ?あなたのために顔は変えないでおいた」

「顔?」
「そう、顔。俺はスパイだからね。変装するだけではなく、顔も変えるんだ。まぁ、その話はいいとして・・・。レイルロードの本部なんだけどオールド・ノース・チャーチを使う前は、スローカムズ・ジョーの地下にあったんだ」
「スローカムズ・ジョー?ドーナツ屋の地下?」
「そうそう。インスティチュートに見つかってしまったけど、設備は充実していた。」

ディーコンは一度話を切り、遠くを見つめた。

インスティチュートに襲撃された際に、持ち出せなかった物を探しに行くと言い高速道路の上を目指して歩き出した。

“ツーリスト”と呼ばれる情報提供者がいるそうだ。
彼(または彼女)から元本部の情報を得てから、探し物に出かけよう。

ディーコンが、あれがレールサインだ、とコンクリートに書かれたサインを指す。

サインを追いかけて先に進んでいくと、その先に一人の男が立っていた。

彼に話しかける前に、ディーコンが小声で言う。
「何を聞かれても、”店の中にある”と答えるんだ。彼との接触はあなたに任せる。」
「OK。店の中にある、ね。」

「ああ、助かった。ガイガーカウンターは持っているか?ガイガーカウンターが必要なんだ。」
「”店の中にある”」

“ツーリスト”のリッキーは俺を疑わしそうに見つめた。
「ここに来るのは1人だと本部から聞いている。2人じゃない。」
するとすかさずディーコンが答えた。
「すまない、俺は新人だ。彼に教えてもらっている。」

俺とディーコンを見比べたリッキーは納得していないながらも、ディーコンの説明を受け入れた。
「あんたらのドーナツ屋は、ツルツル頭のクソ人造人間どもでいっぱいだよ。しかも正面は要塞化されている。地雷をばらまきやがったんだ」
「地雷か・・・。わかった。情報をありがとう。」

高速道路から町を見下ろす。

リッキーと別れ、少し離れた場所でディーコンに質問してみた。

「どうしてリッキーに嘘をついたんだ?」
「俺の仕事は諜報活動だ。素性を知られないほうが仕事がやりやすい。だから嘘をついた。」
「・・・」
「あなたがお喋りを担当して、俺が客観的立場から観察する。チームプレーだよ。」

諜報活動。
確かにディーコンの言うとおりではあるが。
なんとなく釈然としていない俺に、ディーコンは更に言葉を重ねる。
「人は常に嘘をつく理由がある。インスティチュートは彼を変えることもできた。単に俺たちのことが嫌いなのかもしれない。好きな理由を選べばいい。」

「俺は、リッキーは嘘をついていないと思う。」
「俺もそう思うよ。この世で大切なのは自分の直感を信じることだ。さて、嘘についての講釈はこれまでにして、潜り込む方法を考えようか。」
「リッキーによると、正面には地雷がばらまかれているとか。」
「更に他の楽しいサプライズもありそうだ。避難用のトンネルを通ろう」
「避難用のトンネル?そんなものがあるのか。」

草で偽装された入り口を通り抜け、無事潜入した。

ディーコンがここに来た目的を教えてくれた。なんでもDr.キャリントンが開発したプロトタイプなるものを回収するためだそうだ。
「プロトタイプ?」
「俺にもよくわからない代物なんだがな。中にはまだ人造人間たちがいるだろう。特に第一世代と第二世代に気をつけろ。」
「第一世代?なんだそれは?」
「初期に作られた人造人間は本物の人間にはほど遠いものだった。インスティチュートは徐々に進化させなければならなかった。レイルロードが解放を目指しているのは、第三世代でね。」
「何が違うんだ?」
「そうだな。第一世代はプロテクトロンと同じだ。そうすると方針に混乱が生じる。AIの権利は守るのか?ターミナルは?タレットは?この話を始めると皆が白熱し、全ての古臭い議論が燃え上がる。まぁ、そういうことだ。」

なんとなくだが、レイルロードが組織として抱える問題が見えたような気がした。




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