Fallout1~Boy Meets Girl
Gizmoを片付けて懐が少し暖かくなった。
酒でも呑むか?とIanに声をかけると嬉しそうに笑う。仕方がない、付き合ってやるか。
Ian「じゃあ、Skum Pit行こうぜ。気になる奴がいるんだ。」
Vesper「女かよ。」
Ian「ちげーよ。なんかガスマスクつけてコート着て、変わったやつがいるんだ。」
Vesper「へえ。」
そんな話をしながら歩いていると、遠くから犬の吠え声が聞こえてきた。
犬を飼っている家があるのか・・・とぼんやり考えていると、後ろから何かが突撃してきた。
???「わんわんわんわん!!」
Vesper「な、なんだよ。」
黒っぽい犬が嬉しそうに俺の周りをぐるぐると回っている。
Phil「あー、助かったよ。そいつの飼い主が死んじまってな。ずっと俺の家の前に座り込んでて困ってたんだ」
Vesper「え?いや、俺は・・・」
???「わんわん!!くぅん」
Ian「一緒に連れてってよぉ」
Vesper「気持ち悪い声を出すんじゃねぇ!」
いやー、助かった助かった、と言いながらPhilは家の中に戻って行った。
俺は犬と見つめあったままだ。
よく見ると、少し毛艶が悪いようだ。3日間も座り込んでいたと言っていたから、何も食べていないんだろう。
Vesper「・・・しかたがねぇな。」
バックパックの中にしまい込んであったリスの串焼きを投げてやると、わん!と一声吠えて一心不乱に食べだした。
Ian「よかったなー、ドッグミート。」
Vesper「ドッグミート?なんだそれは。」
Ian「こいつの名前だよ。犬って呼ぶわけにはいかないだろ?あ、お前メスか。キャサリンとかイザベルとかにするか?」
Vesper「・・・ドッグミートだ。」
Dogmeat「わんわん!」
Dogmeatを連れてSkum Pitへ向かう。
中を見渡すと、確かにIanが言ったような服装の男が一人酒を飲んでいた。
レザーアーマーの上にトレンチコートを着て、更にガスマスクをつけている。なんじゃありゃ。
※上の画像だと、ただの禿げた人にしか見えませんが・・・。
↓これだと思って見てください。
NewVegasのデザートレンジャー装備
覚悟を決めて男に近づく。
Vesper「初めまして。」
???「ん?また新顔か?」
Vesper「僕はVesperと言います。北にあるVaultからウォーターチップを探してジャンクタウンまで来ました。」
Tycho「お前さんは他の流れ者と何かが違うなと思っていたが、Vault出身者か。俺はTycho、よろしくな。」
ガスマスクで表情が見えないが、気さくな性格のようだ。
俺たち二人を近くに座らせてIanには酒を、俺には・・・水を渡してきた。水かよ。
Tycho「俺は遥か東、ネバダと呼ばれるところからやってきた。この出会いを祝して、乾杯だ!」
Ianは酒を奢ってくれるTychoにすっかり気を許したようだ。
ネバダの話、レンジャー部隊の話・・・意気投合して話に花が咲いている。
やれやれ・・・。飲んだくれの大人は放っておいて、酒場の亭主に声をかけに行くか。
目つきの悪い男たちが酒場に入ってくるのが見えたが、ウェイトレスに声をかけて酒を飲んでいるので気にも留めなかった。
Neal「いらっしゃい。Skum Pitへようこそ。」
Vesper「僕はVesperと言います。この町の事を聞かせてもらえませんか?」
Neal「なんだ?ここは酒を飲むところだ。ああ、チップも忘れずにな。」
ふと、テーブルの端に壺?のようなものが見えたので何なのかを聞こうと思ったとき、さっきの目つきの悪い男がウェイトレスを殴り飛ばした音が店内に響き渡った。
激怒したNealが男の頭を吹っ飛ばす。
残った男が捨て台詞を吐いて店から出て行く。
あっという間の出来事だった。
気を取り直してNealに改めて声をかける。
Vesper「ええと、先ほどのは・・・?」
Neal「ああ、あいつらか。SkulZだ。この町のギャングだよ。」
Skulz。どこかで聞いたことがあるような・・・。ああ、入り口でLarsがこの町にいるロクデナシって言ってた奴らか。
IanとTychoを見るとほろ酔いで気持ちよくなっているようなので、一仕事してもらうことにするか。
Vesper「Ian、酒は終わりだ。仕事が済んだら、また呑め。」
Ian「えーーー。折角調子でてきたのにーーー。」
ぶーたれるIanの頭を一つ殴りつけると、それを見ていたTychoが笑う。
Tycho「君は、本当はそういう男なんだろう?俺にも丁寧な言葉を使わなくていい。」
Vesper「・・・。」
Tycho「さて、Vesper。俺にも仕事を与えてくれないか?」
Vesper「じゃあ、Tycho。俺たちと一緒にこの町の掃除をしないか?」
Tycho「いいね。道路掃除と洒落こもうじゃないか。」