『Boomer?』
聞き返すLuciaの言葉に大げさに驚いたような表情を男は見せた。
「あんた、Boomerを知らないのか?今まで洞窟ででも暮らしていたのか?」
「おい、なんだその言い方は。」
ずいとラウルが一歩前へ出る。
ラウルの剣幕に、男は言葉の綾だよと宥める様に言う。
『この先に、そのBoomerがいるの?』
「そうだ。この先にあるNelis空軍基地に住み着いて近づく連中を大砲で追い払ってるんだ。」
「大砲・・・?そんなの使うやつらが居る訳ないだろ。」
男は肩を竦め、信じないなら勝手に進めばいいと言って背を向けた。
Luciaとラウルは顔を見合わせる。
「行ってみたいんだろ、ボス?」
『へへ。バレた?』
とりあえず、道を真っ直ぐ進んでみて様子を窺ってみよう。
警告標識
廃墟のような広い場所に出た・・・途端。
どこからともなく砲撃を喰らった。思い切り体力を削られる。
開けた場所に身を隠す場所はほとんどない。走って、建物の陰に身を隠して、それで防ぐことが可能なのか?
爆風でED-Eが気を失ってしまった。慌てて拾い上げ、来た道を這う這うの体で逃げ帰る。
先ほどの小屋まで逃げ帰り、息を整える。
『び、びっくりした。』
「大砲って、本当に使いやがるんだな。」
暫くするとED-Eも回復して、Luciaの頭上をくるくると回る。びっくりした!とでも訴えているようだ。
ラウルはLuciaが諦めていないことに気づいた。
「・・・ボス?」
『こっちの道が駄目なら、他の方法を探そう。付き合ってくれる?』
やれやれと溜息をつき、ラウルは立ち上がった。
先ほどの道路の少し東に、北へと続く線路がある。
開けた場所だと身を隠すこともできないけど、こっちなら砲撃範囲から外れているかもしれないとLuciaは言う。
うーん、とラウルは懐疑的だ。
それでも兎に角進んでみることに。
順調に進んでいたかのように見えた、その瞬間。
先ほど耳にした何かが飛んでくる音が聞こえてきた。まずい!
「ボス!!右の岩陰に飛び込め!!!早く!!」
Luciaとラウルが岩陰に飛び込んだ瞬間、立っていた場所に爆撃。ラウルが体を使ってLuciaを庇う。
『あ、ありがとう・・・ラウル。』
「大丈夫か、ボス?・・・しかしまぁ、Boomerってやつらは一体なんなんだ。」
砂埃を払いのけながら立ち上がる。
この先、どれくらいあるんだろう・・・?
岩陰に身を隠しながら、なんとか走り抜けると遠くに空港のようなものが見えてきた。
フェンスにできる限り近寄り、警戒しながら入り口を探す。
空軍基地って言うくらいだから、NCRとか軍隊関係者なんだろうか、Boomerって。
そんなことを考えながら歩いているLucia達に、制止する声が飛んできた。
「止まれ!!お前たち、いったいどこからやってきたんだ!?」
2人に狙いをつけたまま、青年が困惑した表情で尋ねてきた。
「我々の砲撃を潜り抜けるとは、いったいどういうことなんだ。」
『あの・・・その大砲降ろしてもらえないかな。あなた達と争うために来たわけじゃないの。』
青年とそんなやりとりをしているところに、1人の女性がやってきた。
大砲を降ろす様に青年に伝える。
「私はRaquel。ここの防衛指揮官よ。我々の長老Mother Pearlが貴方と話をしたがっているわ。」
『構わないけど・・・』
「急に襲うような真似はしないでくれよ。」
Raquelが鼻で馬鹿にしたように笑う。
それはこっちの台詞だと言わんばかりだ。