「リフテン水産」の扉を少し押し開け、中を覗く。
・・・衛兵とか、警備はいないようだ。
リディア:?従士様、何をされているんですか?
ilex:警備とかいたら嫌だなと思って。
リディア:大丈夫ですよ。おかしなこと言うやつがいたら、私が追い払います
ilex:頼もしい・・・
さあさあとリディアに背中を押される。
意を決して、「リフテン水産」の扉を開け中へと進んで行く。
薄暗い奥の方で作業をしているのか、動く人影がある。
声をかけてみようかなとそちらへ歩き出すと、通路の向こう側でアルゴニアンが籠を重そうに持っているのが見えた。
もしかして・・・?
名前を呼びかけると、アルゴニアンは振り返った。
一瞬ilexのことがわからないようで、訝し気に睨みつけていた。
ilex:ウジータ!
ウジータ:・・・?あ、ilex?なんで?
ilex:手紙くれたじゃない!来るのが遅くなって、ごめん
ウジータは辺りを見回し、今は話せないから夜にヘルガの宿舎へ来てちょうだいと呟いた。
衛兵が見張っていないブラックブライア蜂蜜酒醸造所を抜けて、リフテンに入るといいわよと教えて、その場を立ち去って行く。
リディアと顔を見合わせ、渋々「リフテン水産」を後にする。
ウジータが教えてくれた通り、ブラックブライア蜂蜜酒醸造所を抜けてリフテンへと入る。
街の真ん中が市場になっているようで、賑やかな声が飛び交っている。
見ればアルゴニアンやダンマー、ノルドが入り混じって店を開いているではないか。
港湾地区に閉じ込められていたウィンドヘルムとは随分と違う。
そんなことを考えていると、ぐうとお腹が鳴った。
そういえばご飯を食べていなかった。酒場で食事をすることにしよう。
酒場兼宿屋のビー・アンド・バルブは女将がアルゴニアンのキーラバだ。
席に着くと、すかさずタレン・ジェイが何を食べるか聞きに来てくれた。
リディアとパンやシチューを分け合って食べていると、タレン・ジェイがリフテンに何しにきたんだと尋ねてくる。
ウジータに会いにきたと話すと、キーラバと顔を見合わせタレン・ジェイは溜息をつく。
タレン・ジェイ:まぁ、確かに彼女は手助けが必要だな
ilex:さっき会った時も様子がおかしかったけど・・・
キーラバ:知り合いなら、早く足を洗うように言ってやんなよ
ilex:足を洗う?犯罪にでも手を染めてるって言うわけ?
タレン・ジェイ:犯罪・・・ではないが・・・
タレン・ジェイが言葉を濁す。一体なんだっていうの?
そのほかにアバンチンゼルってとことに辞典を返してきて欲しいと頼まれた話をすると、タレン・ジェイが少し離れた場所で寛いでいた男に声をかけた。
彼の名はマーキュリオ。
傭兵でドゥーマーの遺跡には詳しいとタレン・ジェイが推してきた。
タレン・ジェイ:というわけで、マーキュリオ手伝ってやれよ
マーキュリオ:金さえ払うなら構わんが
ilex:じゃあ、お願いしようかしら
マーキュリオ:500ゴールド、前金だ
マーキュリオにリディアを紹介し、今までの出来事をあれこれと話す。
そんなことをしているうちに、夜も更けてきた。
マーキュリオには待っていて欲しいと伝え、リディアと2人でヘルガの宿舎へと向かう。
他の労働者たちと相部屋なのか、いくつものベッドが並ぶ中でウジータはilexを待っていた。
よくよく話を聞くと、ウジータは軽い気持ちで始めたスクーマにのめり込み・・・今では立派な中毒者になってしまったという。
キーラバが「足を洗う」と言っていたのは、このことだったのだ。
このままだと折角手に入れた職も失いそうだとウジータ。
仕方がないわねと溜息をつきながら、ilexは治療薬(※通常の回復薬でOK)を手渡してやる。
ウジータ:ああ、ありがとう!
リディア:薬の売人はどこにいるんですか?
ウジータ:港に、いつも鍵が掛かってる倉庫があって。そこで受け渡しをしていたわ
ilex:衛兵や首長は取り締まったりしないわけ?
とりあえず一度ビー・アンド・バルブに戻って、休むとしようか。
ウジータに、もうスクーマに手を出したりしないでねと念を押し、ヘルガの宿舎を後にした。
ビー・アンド・バルブで待っていたマーキュリオに、スクーマの話をすると顔をしかめた。
どうやら・・・首長の側近や衛兵たちについて、きな臭い話があるようだ。
なんだか面倒くさいことに首を突っ込んだぞ、と思いながらilexは眠りに落ちていった。