Fallout4 Bite the bullet
※注:今回のタイトルは幕間の一コマとして書いているもので、クエスト名ではありません。
ヌカワールドの制圧が完了したことが余程嬉しかったのか、珍しく浮かれた様子のゲイジを眺めながらフィズトップ・グリルへの帰路につく。
上がりを受け取って、それからニシャやメイソン、マグスたちに連邦へ第一歩を進める話をしようと意気込むゲイジと、黙ったままでいる俺をドッグミートが不思議そうな顔をして見比べている。
ドッグミートの頭を撫でてやると、そっと俺の手を舐めてきた。
フィズトップ・グリル最上階へのエレベータに乗り込もうとした時、パックスのレイダー達がマジカル・キングダムでの上がりをゲイジに渡しにやってきた。
「ああ、そういえば。メイソンがアンタに話があるそうだ。」
「メイソン?ああ、あいつか。」
ボスを呼びつけやがって、とゲイジはぶつぶつと文句を言っている。
ヌカワールド全体を制圧して・・・あいつらもどんな様子なのか気になるな。
すぐ行こうと返事をすると、メイソンの手下たちはよろしくなと答えて立ち去って行った。
ゲイジと連れ立ってやってきた俺を見て、メイソンは満足そうに頷いた。
「よぉ、ボス!」
「なんの用だ、メイソン。」
「我らが友達のオペレーターズにちょっとした悪戯をしかけたくてね。」
ニヤリと笑いながらメイソンは、連邦にいるオペレーターズの後援者を捕まえてきて欲しいと言う。
そして、その後援者とやらは・・・グッドネイバーのサードレイルにいるらしい。
グッドネイバー。
サードレイル。
マクレディやハンコックの顔が浮かび、声が耳元に聞こえてきたような気がした。
「お前がしてくれた、沢山の凄まじいこと。俺は忘れない。」
「George、厄介なことになるとしても、お前とならいい。」
ゲイジとメイソンが連邦の住人やレイダー、ガンナーたちをこき下ろすのを聞きながら、グッドネイバーに初めて足を踏み入れた時の出来事に思いを馳せた。
ああ、俺は。
「・・・ということで、ボス。頼んだぞ。」
メイソンの声に応えず、その場を立ち去った。
その足でパーラーへ立ち寄ると、マグスが頼みがあると声をかけてきた。
物資を運んでいた列車が襲われてしまい、運び屋が身を隠しているらしい。
助けに行って欲しいと、そうマグスは言う。
ゲイジは、小声で恩を売っておくに越したことはないと囁いた。
その物資もどうやら連邦から奪い取ってきたもののようだ。
引き受けるとも返事をせず、黙ったままでいる俺を不審そうな目で見るマグス。
俺とマグスの間にゲイジが割り込んできた。
「ボスは今忙しい。だがアンタの話は考えておこう。じゃあな。」
そう言うと、俺の肩を押しパーラーから出る様に促す。
「ボス、どうしたんだ?疲れてるなら、戻って休むといい。」
「・・・ニシャの所へ行く。」
「は?ニシャんとこ?どうしたんだ、まったく・・・・」
ディサイプルズのレイダーたちは、自分たちの取り分が少ないことに腹を立てているようだ。
俺の顔を見ると、何の用だと言わんばかりに威嚇してくる。
その最たるはディキシーだ。
死にたくないならとっとと失せろと正面切って罵声を浴びせてきた。
ゲイジと暫く睨みあっていると、ニシャが上階から俺たちを呼んだ。
ディサイプルズたちの情報を売りさばいているトレーダーを始末して欲しいと頼んでくるニシャ。
「そんな悪い子にはお仕置きが必要よね、ボス?」
「人様の情報を売るなんてなぁ?連邦の正義ってやつを見せつけてやらないと。」
「・・・で、どんなやつなんだ。」
ようやく俺が口を開いたのを見て、ゲイジはやる気を出したと思ったようだ。
「ニシャ、その馬鹿はどこのどいつなんだ?」
「ボスに伝えるような名前なんてない小物ね。ダイヤモンドシティにいるわ。」
グッドネイバーの次は、ダイヤモンドシティ。
俺は。
ここで、レイダー達の抗争の最中に死ぬことを望んでいたはずだ。
なにもかも投げ出して。
けれど、ふたを開けたらどうだ。
意地汚く未だに生きている。更に、連邦を餌食にしようとしているレイダーの片棒を担ごうとしている。
ニシャの声も、ゲイジの声も聞こうとせず、フィズトップ・マウンテンを後にした。