酒場ナインス・サークルにいるカロンと言う傭兵。
手を貸してくれないかと思い声をかけてみる。
片隅で腕組みをしている大きなグール。
Patrickが近寄ってくると、ちらりと見はしたが、頑なな態度は崩さないようだ。
「知らん。アズクハルに聞け。」
『え?アズクハル?』
カロンは一言そう言うと押し黙ってしまう。
困っているPatrickを見かねた客が、カロンの雇い主だよと教えてくれた。
そうか、雇われているのか。
どうやらアズクハルは、酒場と自身の用心棒としてカロンを雇っているらしい。
アズクハルって人に僕が雇いたいと聞いてみればいいんだ。
「カロンを雇いたい、そう言ったかな。」
『そう。彼は傭兵だと聞いた。そして貴方が雇い主だと。』
単刀直入にアズクハルにそう伝えると、Patrickを面白そうに眺めた。
カロンは契約書を持つ者に絶対の忠誠を誓う。
今、契約書を持っているのは私だ。私が契約書を持つ限り、彼は私の言うことをいつでも口答えせずに行う。
穏やかそうな口調の中に、かすかに漂う加虐の臭い。
Patrickが少し眉根を寄せたのに気付いて、更にアズクハルは楽しそうに話す。
「どうしても雇いたいと言うなら・・・そうだな2000キャップで契約書を譲ってやってもいい。」
『2000キャップ!?』
「そうだ。彼は私とナインス・サークルにとって貴重な財産だからな。」
手持ちのキャップを思い浮かべる。
2000キャップ支払うことはできなくもない。支払った後は、ほぼ無一文にはなるが。
逡巡するPatrickに、アズクハルがもう一つの案を提示してきた。
「2000キャップの支払いが難しいというのなら、キャロルのウェイトレスであるグレタを殺して欲しい。」
『・・・。』
「金を払うか、グレタを殺すか。好きな方を選ぶがいい。」
そう言うとアズクハルは休みからと、Patrickを追い払った。
もしかしたら、グレタという人が物凄く悪い人なのかもしれない。
確認するためにキャロルがやっている雑貨店へと向かう。
そういえば・・・メガトンにいたゴブがアンダーワールドから来たって言ってたような気がする。
『ええと、ゴブって名前聞いたことあるかな?』
「ゴブ?あんた、ゴブを知ってるのかい?元気にしてる?」
『あ、うん。メガトンで、えーと元気に働いてるよ。』
キャロルはほっとしたように笑った。
本当の親子ではないけれど、実の息子のように思っていると。
「ゴブに、母さんが心配してたって伝えておくれ。彼を愛し、幸せを願っているとね。」
キャロルの元へグレタがやってきた。
注文や食料品のことを話しあっている。
仲良さそうに話をする2人を見て、アズクハルの頼みを聞くことは止めにした。
2000キャップ払おうじゃないか。
差し出された2000キャップを見て、アズクハルが頷いた。
「なるほど。わかった。」
2000キャップと引き換えに、カロンの契約書を手に入れた!
早速カロンに声をかけよう。
相も変わらずナインス・サークルの片隅に立ち続けるカロン。
にこにこしながら近づいてくるPatrickのほうを見ようともしなかった。
『やぁ。』
「・・・。」
『君を雇いたいんだ。』
「知らん。アズクハルに聞け。」
いつものように応えるカロンに向かって、契約書を見せる。
少しだけ表情が動いた。
『僕がアンタを雇うことになる。契約書も持っている。』
「・・・アズクハルから契約書を買い取ったと、そういうことか?」
『そう。もう君のボスはアズクハルじゃない。』
ちょっと待っててくれ。
そう言うとカロンは徐にアズクハルの元へと向かう。
さよならでも言うのかなと思いながらカロンを見守る。
自分の目の前にカロンが現れたのを見て、アズクハルも、そう考えたらしい。
「どうしたカロン。」
「・・・あいつが、契約書を買い取ったと聞いた。本当だな?」
「その通りだ、カロン。さようならを言いに来たのか?」
背負っていたショットガンを手に取ると、何も言わずにアズクハルに向かって放った。
その銃声に、周りにいる酒場の客たちも一瞬息を飲んだ。
しかしカロンがアズクハルに向かって放った一発だとわかると、口々に、さもありなんと語り出す。
カロンは蔑んだような表情で足元に倒れているアズクハルに一瞥をくれると、Patrickの元へと戻ってきた。
『え?ど、どうして?』
「アズクハルは悪魔だ。奴が契約書を持っている限り、逆らえなかった。」
『う、うん。』
「ともかく、これからは新しい主に仕えよう。」
※クエスト:Hired Helpはカロンを雇うためのもの。Pip-Boyにも載らないミニクエスト。以降カルマに関わらずカロンを雇うことが可能。
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