
銃に手を伸ばしたVeperをけん制するように、ヴィクターは腕を振った。
「よせよ、相棒。なじみの顔に会えて嬉しくないのかい?」
『付きまとわれたくねぇと言っただろ。クソロボットめ。』
人間なら肩を竦めたであろう仕草をする。
『てめぇ、ここにいるんならベニーの野郎を見たか?』
「ファンシーパンツ?グッドスプリングの騒動以来、見てないね。NewVegasのお気楽な生活に戻ったんだろうよ。」
『くそったれ。役立たずめが。』
毒づくVesperにNewVegasへ向かうよう水を向けると、ヴィクターは走り去って行った。
煙草を足元に投げ捨て、イライラしながら踏み消した。
あのブリキロボットは、一体なんだってんだ。
どうやって見張っていやがる?まさか、NCRやカーンズの野郎どもと繋がってるのか?
しきりにNewVegasへ向かうよう勧めるのも、気に喰わねぇ。
新しい煙草に火を点け、深々と煙を吸い込んだ。
とはいえ、ベニーを追ってNewVegasへ向かわなくてはならないことも事実だ。
『クソったれ。誰かの手のひらの上で踊るのだけはごめんだ。』
ビクターの思い通りになるのは腹立たしいが、NewVegasへと向かうより他ない。
真っ直ぐに延びる道の先に、煙が見えた。
どうやら休憩所のような場所があるようだ。
一休みついでに、付近の情報を聞くとしよう。
188交易所
見る限り、客はVesperの他に一人いるだけだった。
オーナーらしき女性に声をかける。
『ここは?』
「あら、いらっしゃい。ここは188交易所。なにか入用かしら。」
『こんなとこで商売が成り立つのか?』
「まぁね。NewVegasに夢見て旅立つギャンブラーとか、NCRなんかも良く通りかかるわ。」
『NCR?』
ミシェルと言う名の女性は、少しだけ皮肉な笑いを浮かべた。
NCR兵たちは、秩序を守るという名目でNewVegasへ向かい・・・言わずもがなだ。
「リージョンに襲撃されない限りは、ここで商売を続ける予定よ。」
『なるほどな。』
「ねぇ。」
そんな2人の様子をじっと見つめていた、フード姿の女性がVesperに声をかけてきた。
「あなた、旅慣れているようだけど、どこから来たの?」
『あん?墓場からだよ。』
「それにしては、随分と元気そうね。」
くすくすと女性は笑う。
ベロニカと名乗る女性は、穴の中で暮らしていたと言う。
穴の中?
Vesperの怪訝そうな表情を見て、バンカーってこと、と言い直した。
『・・・どっちにしろ、よくわかんねぇな。』
「ねぇ、Brother Of Steelって聞いたことある?」
『B.O.S.か。古い技術とか集めてる集団だったか。その程度しか覚えてねぇな。』
ベロニカが少しだけほっとしか顔をした。
古いテクノロジーに執着している風変わりな集団、と呟く。
これからどこへ向かうのかと尋ねるので、NewVegasだと伝えるとベロニカの瞳が輝いた。
「ねぇ!私一人だと危険で行けない場所も沢山あるのよ。2人で助け合って一緒に旅してみない?」
『は?』
まじまじとベロニカの顔を見つめるが、どうも本気のようだ。
『お前な、世間知らずにもほどがあると思わねぇか。』
「なんで?B.O.S.のこと知ってるぽかったけど、悪口言わなかったでしょ?私にとってはそれだけでも信頼するに値するのよ。」
B.O.S.は敵が多いからね、と肩を竦める。
女と2人旅。
・・・まったくそそらねぇ女だが、まぁいいか。
NewVegasまでの道程、確かに自分一人では対処できないことがあるかもしれない。
ふよふよとあたりを漂うED-Eだけじゃ心許ないしな。
『OK。わかった。とりあえずNewVegasまで一緒に行動だ。そこから先はそん時考える。』
ベロニカ「やった!ありがとう!」※Scribe Assistant Perkを得る。
それにしても。
ベロニカの来ている服が気に喰わない。
独特の色合いとフード姿が何とも言えず落ち着かない。ダッセぇんだよ。
『なぁ、その格好はお前んとこでは当たり前の服装なのか?』
「え?これ?まぁそうね、外に出て歩くのに支給されたものだけど。」
『・・・着替えろ。』
Vesper「ましになった」 ベロニカ「そう?」
フード姿以外で外を歩くことが初めてなのか、ベロニカは嬉しそうにしている。
凄い!動きやすい!とはしゃいでいる。
『じゃ、飯食ったらVegasに向かうぞ。』
「りょーかい!」
『お前は銃とか使えんのか?』
「ちょっと、お前とか言うの止めてくれる?」
Vesperは小さく舌打ちした。めんどくせぇな。
『Ok、ベロニカ。お前の獲物はなんだ?』
「私は素手で殴るのが好きかな。あ、勿論銃も使えるよ。場合によっては使い分けできるから安心して。」
素手攻撃ねぇ・・・。近接は狭い場所で威力を発揮するが、近寄らねぇと意味ないな。
『あとよ。』
「なに?」
「おま・・・ベロニカは少し警戒心がなさすぎじゃねぇか?見知らぬ男と2人旅だぞ。』
ああ、それなら、とベロニカがにっこりと笑った。
すっ
ベロニカ「それっ」
ミシェル「なにやってんのよ。」 ベロニカ「大抵の男なら投げ飛ばせるよ」
『バカヤロー!!!やるならやると先に言え!!!!』
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