
ティミー・ネウスバウムを泣かせろ。
ベティからの指示を反芻する。
それからディザーズ夫人が言っていた言葉も。
あいつは神みたいに振舞っている。
誰かを泣かせたりする必要が本当にあるんだろうか。
泣かせたら、情報を教えるって言ってたけど、更に嫌なことを要求するかもしれない。
そうだ、ディザーズ夫人は何て言っていた?
捨てられた家に・・・安全装置ターミナルがある。
Patrickはティミー・ネウスバウムを探すふりをしながら、ベティの側を離れて行った。
街の住民に声をかけつつ、捨てられた家を探す。
少し離れた場所にひっそりとたたずむ家。
ベティがこちらを見ていないことを確認して、ドアの中へと体を滑り込ませる。
※ラジオやピッチャー、ノームなどを順番に鳴らす
ノームの置物に触れると音がした。
ラジオは・・・ブザーが鳴る。
あれこれ試すうちに、どうやら触れる順番が決まっていることがわかる。間違うと・・・ブザーが鳴る。
『やった!』
何度目か試したところで、正解に辿り着いた。
隠されていた安全装置が姿を現す。
Dr.ブラウンの書き込みを読むと、ディザーズ夫人の言っていたことが裏付けられた。
悪夢を終わらせて、ここから出なきゃ。
それにしても・・・父さんはどこだ??
ターミナルの画面に表示されている「フェイルセーフを開始」に一瞬躊躇ったが、Patrickは「開始」を選択し実行した。
途端に、家の外が騒がしくなる。
急いで出てみると・・・銃を持った兵士たちが住人に向けて発砲していた。
慌てふためく住人達。
兵士はPatrickには見向きもせず、どんどんと先へと進んで行く。
街の真ん中にある広場にはベティ、いやDr.ブラウンが1人取り残されていた。
Patrickを見つけるなり、激しく罵る。
「お前!!お前のせいで・・・!破壊されて何もかも消えた!私一人だけ残されたんだ!」
『これで、終わりだ。黙って質問に答えるんだ!』
「くそっ・・・まだ、終わりじゃない・・・」
強気な言葉を口にはするが、その表情はどこか不安げだった。
少女の姿に騙されそうになるが、中身は正真正銘大人の科学者だ。騙されるな、と心の中で呟く。
『さぁ、父さんがどこにいるのか教えてるんだ。』
ベティは馬鹿にしたようにpatrickを見つめた。
「本当にわからないのか?」
『どういうこと?』
「奴はずっとここにいたのに気付かないとは鈍い奴だな。」
『え?』
ベティが指さす先に、一匹の犬がいた。
「人類の友ってやつだ。」
この場所から出たら元の姿に戻ると言う。
G.E.C.K.のことやトランキル・レーンのことを聞き終えると、元の世界へと戻るドアを開けた。
目を開くと、そこには・・・モニター?
ああ、Vault112で座り込んだラウンジだ。
ラウンジの扉を開け外に出ようとすると、カロンが待っている姿が見えた。
その後ろから、父ジェームスが姿を現した。
『・・・父さん!』
ジェームスはPatrickに助けられたことに礼を言うと、少し口ごもる。
Patrickも、何を話していいのかわからず黙っていた。
カロンとDogmeatは、そんな2人を見守っている。
「・・・会えて嬉しい・・・んだが、お前こんなところで何をしている?」
『え?』
「何故、Vaultを出たんだ?」
父がVault101を出たことを発端に起こった出来事を掻い摘んで説明する。
ジョナスが殺されたことや監督官を殺してしまったことは伏せて、Vault101が混乱に陥ったことだけ。
「お前は俺を追ってここまで来たのか?」
『・・・そうだよ。何故いなくなってしまったのか、答えを探して、ね。』
ジェームスは溜息をつきながら、息子を眺めた。
浄化プロジェクトにDr.ブラウンのG.E.C.K.研究開発を利用することができないか調べていて、あの空間に閉じ込められてしまった。
『それで、利用はできそうなの?』
「ああ、G.E.C.K.は不安定で危険だが・・・利用することは可能だ。」
自信に満ちたジェームスを見るのは久しぶりだった。
ジョナスが生きていたら一緒に浄化プロジェクトの手伝いをしていたかもしれないと考えると、少しだけ悲しくなる。
「この発見があれば、マジソンも長年失敗してきた部分を完成させることができるって納得するはずだ。」
『Dr.リーのこと?』
「ああそうだ。リベットシティにいるんだが、会ったのか?」
『うん。父さんや母さんのこと、聞いたよ。』
『リベットシティへ向かおう。』
↓ 拍手 一押しいただけると中の人が大喜びします!※別窓開きます