出口いっぱいに広がる黒いもの。触手が畝っている。
Midir:・・・なぁ
セラーナ:どうかしまして?
Midir:なんか、やな感じのうねうねしたのが見えるんだけど
セラーナ:あら、奇遇ですわね。わたくしもですわ
ここからの出口は一か所だけ。
招くように触手を動かすそれを見つめながら近寄るMidir。
ふいに、声が響いてきた。
深淵からの声:近く来い、面前へ
Midir:・・・誰だ
深淵からの声:ハラメアス・モラ。まだ見知らぬものの保護者。未知のものを知るもの。定命の者、お前をずっと観察してきた
セラーナ:(ハラメアス・モラ・・・デイドラですわね)
Midir:観察だと?なんのつもりだ
深淵からの声:お前が支援を続けることで、セプティマスは更に用なしとなる。奴は良く尽くしてくれたが、そろそろ終わりだ
そう言い残すとハラメアス・モラは掻き消えた。
周りの空気も一変する。
苦虫を噛み潰したような表情でMidirは黙ったまま、洞窟を出て行った。
気を取り直してアルトマー、ボズマー、ダンマー、ファルメル、オーシマーの血を集めることにする。
ドゥーマーの遺跡や山賊の住処を襲撃すれば血は集まるだろう。
Midir:あらよっ
Midir:よっと
Midir:おらっ
無事5種類のエルフの血を集めることができた。
セラーナがふと見ると、Midirが浮かない顔をしてエキス抽出器を握りしめている。
セラーナ:先ほどから浮かない顔をされてますわね
Midir:んー・・・。あのうねうねが言ってたのが気になってな
セラーナ:ハラメアス・モラが言っていたこと?
Midir:セプティマスは用なしになるって言ったただろ。あいつ何かするんじゃねーか?
セラーナ:デイドラの考えることですものね・・・
しかし、このまま戻らない訳にもいかない。
一抹の不安を胸に、2人はセプティマスの元へと向かう。
Midirの手にあるエキス抽出器を奪い取り、興奮気味のセプティマスは何かぶつぶつと呟いている。
暫くその場をうろうろしてから、ドゥーマーの”箱”の中へと入っていく。
中にある一冊の本を目にすると、少し驚いたように呟き
一瞬体が浮いたと思ったら
次の瞬間には灰になっていた。
Midir:・・・!
セラーナ:灰に・・・なってしまいましたわね・・・
Midir:なにが、起こったんだ・・・?
灰になってしまったセプティマスを見下ろす。
この本に触ったからか?一体何が起こったんだ??
恐る恐る本を手に取る。
※オグマ・インフィニウムはスキル書。力の道、影の道、魔法の道を選べる。
兎に角この場を離れることにしよう。
星霜の書とオグマ・インフィニウムを手に、”箱”から出ようとすると・・・そこには再びハラメアス・モラの姿が。
最初に見た時よりも、一層禍々しく見える。
くそっ、またコイツかよ。
深淵からの声:我が勇者、こちらへ
Midir:我が勇者・・・だと・・・?
深淵からの声:さて、私のオグマ・インフィニウムを入手したな。忠実なる召使のザーシスにも明かした通り、時代の知識が詰まってる。
Midir:てめぇの召使になる気なんざねぇよ
セラーナ:(デイドラに目をつけられるとは、面倒ですわね・・・)
深淵からの声:お前に自由な意思があるというのは思い違いだ。認める認めないは勝手だが私は心に入り込める。
Midir:うるせぇ。そこをどけ!
言いたいことを言うと、ハラメアス・モラは姿を消した。
押し黙ったまま、Midirとセラーナはセプティマスの洞窟を後にした。