セラーナ:で・・・貴方は一体どちらへ行かれるおつもり?
Midir:ドーンガード砦に戻る前に、ちょっと俺に付き合えよ
セラーナ:構いませんけど・・・
Midirはまずホワイトランへと行くと言う。
まだ訪れたことがないセラーナは少し嬉しそうだ。
ソリチュードほどではないが、大きな城が目印の活気ある町だ。
近くの農場や警固して歩く衛兵を興味深げにセラーナは眺める。
門をくぐり、町の広場へと足を向ける。
Midirが1人のダンマーへ親し気に声をかけた。
Midir:よぉ、戻ったぜ
ジェナッサ:あら、あんた。おかえり。無事だったのね
Midir:へへっ。ああ、こいつはセラーナ。ドーンガードの仕事で一緒に戦ったんだ
ジェナッサはちらりとセラーナへ視線を走らせた。
ドーンガードって、吸血鬼ハンターだったわよね。
この娘(こ)の・・・この瞳。吸血鬼じゃないの?
セラーナもジェナッサの視線を意味を感じ取ったようだ。
互いに黙り込む。
Midir:セラーナ、こいつはジェナッサ。傭兵ってやつで、あちこち一緒に旅してもらったりした
セラーナ:・・・どうぞ、よしなに
ジェナッサ:・・・こちらこそ
Midir:2人とも、俺の仲間ってやつになるのか?
Midirの言葉にセラーナもジェナッサも虚をつかれたように顔を見合わせた。
まったく、こいつときたら。
ジェナッサにソフィたちの様子を聞き、後で行く予定だと言い残しその場を離れる。
ジョルバスクル入り口近くでエリクに出会う。
2人で嬉しそうに肩を叩きあい、後でなと言い別れた。
中庭ではいつものようにファルカスやヴィルカス達が稽古をしていた。
Midirの姿を見かけると、まずファルカスが飛んできて嬉しそうに頭をこねくり回す。
ファルカス:よぉ、坊主!帰ってきたか!
Midir:へへ、兄貴。戻ったぜ!
ファルカス:ヴィルカスやアエラも待ってたぞ
Midir:あ、こいつセラーナ。ドーンガードで一緒に戦ったんだ
そうか!と笑顔をセラーナに向ける。
一瞬ファルカスがセラーナを値踏みしたような目で見た。セラーナもファルカスを見つめる。
互いに、互いの持つ人外の力を感じ取ったようだ。
Midirだけが暢気に腹減ったと騒いでいる。
一晩ジョルバスクルに泊まって、ウィンドヘルムへ行くとMidirは言う。
セラーナ:先ほど方・・・なにか力をお持ちではなくて?
Midir:ああ、兄貴か?よくわかったな
セラーナ:詳しくはわかりませんけれど
Midir:ま、そんなのどうでもいいじゃん。
山賊だった俺を受け入れてくれた・・・大切な仲間ってやつなんだ、とぽつりと呟く。
ウィンドヘルム近くにある家へと向かう。
ここでソフィとルシアが暮らしてるんだと説明するMidir。
セラーナがちょっと複雑な顔をした。
どうした?と聞くと、珍しく躊躇った様子だ。
Midir:どした?珍しいな
セラーナ:ええと・・・そうですわね
Midir:なんだよ。言いたいことがあるなら言えよ
セラーナ:わたくし、中に入らないほうがよいのでは?
Midir:なんでだよ。ほら、行くぞ
ソフィとルシアはMidirが中に入ってきたことに気づくと、歓声を上げて駆け寄ってきた。
しかし、Midirの後ろにいるセラーナに気づくと立ち止まり警戒する。
ソフィがルシアを後ろ手で庇う。
頭を掻きながらMidirがソフィを呼び寄せ、近くに座らせた。
セラーナは黙って様子を窺っている。
ソフィ:お兄さん。このひと・・・誰?
Midir:一緒に戦った仲間だ。いつも様子を見に来てくれるジェナッサと同じ、仲間
ソフィ:なかま・・・?
Midir:そう。挨拶できるか?
ソフィはおずおずと手を差し出してきた。
戸惑いながら、小さな手を握りしめるセラーナ。
よろしくね。
ドーンガード砦が見えてきた頃、Midirがぼそりと呟いた。
Midir:イスランに嫌味言われたら、ホワイトランやウィンドヘルムの家に来いよ
セラーナ:え?
Midir:ドーンガード砦以外にも、居場所があるって言ってるんだよ
言い慣れない台詞を言ったためか、Midirは少しバツの悪そうな顔をしている。
ふふっと笑うとセラーナは、覚えておきますわと言ってMidirに振り返らずドーンガード砦へと戻って行った。
たまに誘いに来るからな!とその背中に声をかける。
よし、俺もジョルバスクルに帰るとするか!
お付き合いいただきましたMidir編。
これにて終了となります。お読み頂き、ありがとうございました!