Fallout NewVegas~Give ’em hell
焼ける臭い。
燻る煙。
嫌な臭いだ。
Vesperは顔を顰めた。
町役場のような建物へと続く道の脇にはパウダーギャングたちが磔にされていた。
死にかけのギャングたちを後目に、建物へと近づいて行く。
「おやおや、これはこれは。」
シーザーリージョンが姿を現した。こいつらがニプトンを落としたのか。
Gabbanと名乗る男は、大仰に手を広げニプトンの街とパウダーギャングについて語る。
自分たちは通常に兵士とは毛色が違い、潜入やスパイ工作に熟知していると自慢げに話す。
彼らのリーダーと言うべき人物、Vulpes Incultaが罠をかけた。街の住民は自分だけ助かることを望んでいたという。
Vulpesに話が及んだ時、GabbanはじっとVesperを見つめた。
『・・・なんだ。』
「お前・・・。そうか、運び屋か。」
Gabbanが部下を呼び寄せ耳打ちすると、どこかへ連絡するように指示を出した。
『おい!どういうことだ。俺はあんたなんか知らない。』
「お前は、ここの住民たちよりも役立ちそうだ。」
尊大に笑うと、ニプトンでの出来事をNCRの前哨基地へ伝えに行けと言い、前哨基地がある丘の上を指さす。
足元に唾を吐き、答えるVesper。
フルメンタリーたちが一斉に武器に手を掛ける。
Gabbanは、それを手で制し、Vesperに軽蔑した表情を向けた。
「あの軟弱者どもに与するとは愚かしい。」
『NCRになんざ恩義はねぇよ。そして、あんたらにもな。』
「・・・。」
部下たちに撤収の指示を出しながら、Gabbanは底意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「女に寝首を掻かれて死ぬといい。」
Gabbanの捨て台詞に思わずカッとなり、立ち去って行くフルメンタリー達に狙いを定める。
Gabban一人なら頭を吹っ飛ばすこともできるだろうが、部下たちとなると難しい。
この開けた場所で、多勢に無勢で挑むべき戦いではないと判断し、舌打ちしながら銃を仕舞う。
『クソったれ、スカート野郎めが。』
そうこうするうちに陽がかげり始めた。
住民は誰もいないようなので、近くにある家で一休みさせてもらうことにしよう。
冷蔵庫の中の物を失敬し食事を終えると、久しぶりにスプリングの利いたベッドに横になった。
Gabbanが話していたVulpes Incultaや女のことが頭の中をぐるぐると回っている。
「Vegasで割のいい仕事があるんだけど、やる気ある?」
「あんたみたいな腕のいい運び屋を探してるの。」
じっとりと汗をかいて、目が覚めた。
また、あの女の夢だ。
俺は、あの女から、運び屋の仕事を受けたってことか?
それにしても。
顔をはっきりと思い出せるようになってきた。
いい女だ。
まずはノヴァックへ行って、俺の仕事を横取りしたスーツ野郎をぶちのめさねぇとな。
家を出て、地図で方向を確認していると、どこからともなくトレーダー姿の親父が現れた。
『なんだ、てめぇ。』
「待ってくれ、銃を下ろしてくれ!」
Malcolm Holmesと名乗る親父は、Vesperがどこかで手にしたのであろうブルースターキャップの話をし、後を付けてきたのだと言う。
『ブルースターキャップ?』
「そうです。サンセットサルラパリラのレアキャップなんです。」
『で?それがどうしたっていうんだ。』
ポケットの中を漁ると、確かに青い星が描かれたキャップが1つ出てきた。
どこで手に入れたのかも覚えていない。
・・・ああ、そうだ。パトロールステーションの死体の近くに落ちてたのを無意識に拾ってたのか。
キャップを矯めつ眇めつしているVesperに、そのキャップをFestusという老人が収集していて、お宝と交換してくれると言う伝説があるのだとMalcolmは話す。
お宝ねぇ・・・。
再びポケットにキャップをしまい込んだVesperを見て、集めるつもりならAllen Marksという男には気を付ける様にと伝え、Malcolmは立ち去って行った。
スーツ野郎から荷物を取り戻したら、キャップ集めと洒落こんでもいいかもしれんな。
※本来ニプトンで遭遇するのはGabbanではなくVulpesなのですが・・・。Vesperのデータは検証のためにアレコレしてたので、現れなかったのかもしれない。Gabbanが出てきた時「だれ???」となりました。
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