ホワイトランの街が動き出す前に、馬で一路ソリチュードを目指す。
テュリウス将軍に、ウルフリック・ストームクロークのことを伝えなければ。
奴は、外交などをするつもりはないだろう。
一次的に恭順をしめし、手数を揃えて内側から帝国支配を崩すなどは考えてもいない。
正面から帝国と戦い、勝つ。
住民たちに対してのパフォーマンスとしては、これ以上ないだろう。
少数で、圧政を敷く帝国に打ち勝つ。
それができると信じる根拠があるのか。
そんなことを考えているうちに、ソリチュードの大きな門が見えてきた。
ソリチュードへ来るのは初めてなのか、リディアがあたりを物珍しそうに眺めている。
Lucius:ドール城へ行ってくる。君はこの辺りにいてくれ。宿屋で休んでいてもいい
リディア:いえ、私も
Lucius:今はまだ君を連れて行くことはできない
リディアはハッとした顔をし、頷いた。
露店でも眺めていますと呟いて、その場を離れて行く。
バルグルーフ首長の好意でLuciusの私兵として仕えてくれているが、リディアは帝国兵ではないのだ。
報告をする際に、伝える必要があるだろう。
バルグルーフ首長が早馬を出した時に話題にだしてくれているとよいのだが。
テュリウス将軍は軍団長と思しき兵士に指示を出し終えると、姿を現したLuciusを手招いた。
テュリウス将軍:ホワイトランの戦いについては聞いている。よくやった
Lucius:ホワイトランの衛兵や住民たちの協力、リッケ特使の指示の賜物です。
テュリウス将軍:バルグルーフ首長も君の事を褒めていたぞ
Lucius:光栄です
テュリウス将軍:ホワイトランに留めておきたいとまで言っていた。そうだ、君に兵士を付けたとか
Lucius:はい。私兵を一人預かっています。
テュリウス将軍:よし、君は審問官に昇進だ。
深々と頭を下げるLuciusに向かって鷹揚に頷くと、将軍は褒美の剣を手渡してきた。
次はペイル地方だと将軍は言う。
野営地にいるリッケ特使の元へと向かい、指示を受ける様に。
そう告げて、テュリウス将軍は軍議の部屋へと向かって行った。
ドール城を出て、ソリチュードの街中へと戻る。
リディアはというと、露店の女性から何か酒のようなものを勧められ、職務中ですからと断っていたところだった。
戻ってきたLuciusを見つけると、ほっとした顔をした。
リディア:従士様、お戻りで
Lucius:ペイルの野営地へ向かう。が、その前に食事にしよう。
リディア:わかりました
Lucius:それは、酒か?
エヴェット・サン:そうだよ、兄さん。体が暖まるよ!
ゴールドを支払い終えると、リディアに投げ渡す。
顎で宿屋を指し示すLuciusの後を、慌ててリディアは追いかけた。
宿屋の隅の席に腰を下ろすと、食べ物をいくつか頼み、しばしLuciusは沈黙する。
辺りをそっと見渡してリディアも席に着く。
食事が出そろうまで、Luciusもリディアも黙ったままでいた。
店の親父が運び終えたのを見届けて、リディアが口火を切った。
リディア:将軍は何か仰っていましたか?
Lucius:バルグルーフ首長がとても褒めていたと
リディア:ああ、それは良かったです。協力姿勢が伝わって何よりです。
Lucius:君の事も話をしておいた。ペイルから戻るタイミングで、将軍に謁見すればいいだろう
パンを千切っていた手が止まる。
その緊張した面持ちを意外な気持ちでLuciusは眺める。
ウルフリック・ストームクロークには臆せず対峙したのに。
将軍への謁見は緊張するのか?
Luciusの視線を感じたのか、リディアは視線を逸らし食事を続ける。
取って食われやしないさと慰めにもならない言葉をかけたが、リディアは堅い笑顔を浮かべただけだった。
2人は暫し食事に集中する。
食事を終えると慌ただしく馬に乗り、ソリチュードを後にした。
北の海から吹く冷たい風の匂いを嗅ぎ、肺の中がSkyrimの空気で満ちていくのを感じた。
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