Fallout NewVegas~At the crossroads

グッドスプリングスにいたはずのポンコツが、何故ここにいるんだ。
Vesperは咄嗟に腰の銃に手をかける。

「おいおい、落ち着けよ、相棒!」
『馴れ馴れしい口を利くんじゃねぇよ。』

真ん中にうつるカウボーイが更にVesperを苛つかせる。

『てめぇ、ここでなにしてやがる。』
「さぁて、よくわからないんだよ。気づいたら、ここにいたってわけさ。」
足元に唾を吐き、ビクターに応えた。
「まさか俺が後をつけたとでも?考えすぎだぜ、相棒。頭蓋骨の中の弾が悪影響を及ぼしてるんじゃないか?」

人間だったら、指で頭を指し示すところだ。
ビクターは重たい腕を振り回す。

『だまれ、ポンコツ』

「やれやれ。あんたの心が復讐でいっぱいだということはわかったよ。許してやろう。さ、街の人たちと話をするんだ。」
肩をすくませるような仕草をしてビクターは黙り込んだ。



チェックのスーツの男の情報を得て、とっととノヴァックを出よう。
そう考えて、改めてビクターがいた場所に視線を戻すと、すでにあの大きな機械は姿を消していた。
『あいつ、なんなんだ・・・。』

ノヴァックの入り口すぐにモーテルがある。
ついでにビクターがいつからいたのか聞いてみるか。

薄暗いモーテルの受付に、女が1人座っている。
Vesperに気づくと、頷いた。

「おや、まぁ。ようこそ。」

ジニー・メイと名乗る女は、モーテル「ディノ・ディーライト」を経営していると言う。
一通り案内を終えると、Vesperが話し出すのを待った。

『この辺を、チェックのスーツを着た野郎が通りかからなかったか?』
「チェックのスーツ?・・・ああ、あいつらのことかな。」
高飛車でいけ好かない奴だったよ。一緒にいたのはカーンズの奴らだろうね。珍しい組み合わせだと思ったもんさ。
ジニー・メイの説明に耳を傾ける。

男とカーンズ。

確かにスーツの男と、カーンズと言われている野郎どもに共通点があるようには思えない。
カーンズ。
どこかで聞いたことがあるような気がするんだが・・・。

『カーンズとは、どんなやつらだ?』
「あんた、Mojaveは初めてかい?ヤクを作って流すチンピラどもだよ。」
『・・・。』

そうそう、とジニー・メイが何かを思い出した。
この街を守るスナイパーが二人いるのだが、そのうちの一人マーニーと面識があったようだと言う。
後は、ノヴァックの近くにあるネルソンやヘリオスワン、レプコンといった場所について教えてくれる。

『マーニーね。そいつにはどこで会える?』
「彼なら昼間は見張りをするために、恐竜のてっぺんにいるわ。」
『なるほど。話を聞いてみよう。』

最後にひとつ、と苦い顔をしてVesperは呟く。
入り口にポンコツロボットがいたが、あれはいつからあそこにあったんだ?

「ロボット?そんなもんありゃしないよ。なにかと見間違ったんじゃないかい?」
『・・・。そうか。なら、いい。』
Vesperの眉間にぐっと皺が寄ったのを見て、ジニー・メイは首を振った。

恐竜の腹は土産屋になっていた。
クリフ・ブリコーがVesperにT-Rexの置物を勧める。
『そんなのいらねぇよ。』
「あと残り少しだから、売り切れないうちに買いなよ。」
『そんなのよりも、マーニーってやつはいるか?』

クリフは少し気落ちした顔をしたが、マーニーは上にいると階段を指さした。



恐竜の頭から、ライフルを手に地平を見渡している男がいた。
NCRの第一部隊のベレーを被ってやがる。
思わずVesperが舌打ちすると、音を聞きつけた男が振り返った。

「なんだ、あんた。ここは見張り台だ。関係ないなら出て行くんだな。」
『あんた、マーニーだな?聞きたいことがある。』

マーニーはVesperを見定める様に眺めた。

『チェックのスーツを着た男とその連れがここに来ただろ。そいつらはどこへ行ったんだ?』
「何故それを知っている?あんたと何の関係があるっているんだ。」

一瞬マーニーが動揺したように見えた。
NCRとカーンズが知り合いだということにか、チェックのスーツの男と知り合いだということがバレたからか。
どちらにしても、ジニー・メイが見ているんだ。ノヴァックの住人が知らないことはないだろう。

『俺の荷物をかっぱらいやがったんでね、取り返すのさ。』

その言葉にマーニーは口ごもった。
Vesperを見つめ、思いあぐねているのがわかる。
マーニーの視線の端々に・・・懐かしい感覚が蘇った。


※Comfirmed Bachelorが効いちゃうんですよ。

この手の男は、マッチョ気取ってるが、女々しいことが多いんだよな。
心の中でVesperは呟く。
遊んでやってもいいが・・・今はそれどころじゃねぇ。それに、遊ぶならあの女の方がいい。

気を許したマーニーは、チェックのスーツの男はベニーといい、マーニーの昔の仲間と共にボルダーシティへと向かったと話す。
ボルダーシティはルート93を真っ直ぐ北上すればいい。
マーニーの説明に耳を傾けながら、Vesperはポケットから煙草を出し一服した。
ボルダーシティか。いい加減追いつきてぇところだな。

自分が咥えていたタバコをマーニーに咥えさせると、優しく頬を撫でた。
マーニーの咥えたタバコから自分の煙草に火をつけると、美味そうに煙を吐き出す。

『いい子だ。今度気が向いたら、遊んでやるよ。』



ぼーっとしているマーニーを残して恐竜を後にする。

ベニーとやらに近づいた。
荷物を取り戻して、仕事をさっさと片付けるとしよう。
それから、あの女を探して・・・。


Vesper:よし



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