Yesmanと名乗るセキュリトロンは、ベニーの手伝いをしていることやプラチナチップのことをぺらぺらとまくし立てる。
『・・・おい、お前は一体何なんだ。ここで何をしている。』
「ああ!いい質問だね!ボクの役目はMr.Houseのネットワークを監視して暗号化されたトランスミッションを解読することだよ!」
Vesperとヴェロニカがちらりと視線を合わせる。
こいつは一体なんなんだ?
Mr.Houseのネットワークを監視しているとか言っていなかったか?
ベニーの野郎は・・・なにをしようとしているんだ?
考え込むVesperにYesmanが再び弾丸のように言葉を浴びせる。
「Mr.Houseはプラチナチップを使って、防衛システムを更新するつもりみたいだよ!」

プラチナチップを使って防衛システムを更新する。
それがMr.Houseの目的か?
いや、違うだろう。恐らく、それだけではなさそうだ。
『ベニーのくそ野郎はチップを手にして何をするつもりだったんだ。』
「彼はMr.Houseを殺害してLucky38のメインフレームにボクの神経計算マトリックスをコピーするつもりだったんだよ!」
あまりにもあっけらかんと、そして楽しそうにベニーの策略を話すYesman。
Vesperとヴェロニカが思わずぽかんとしてしまう。
「え、ちょ、そんなこと話して・・・」
「いやぁ、僕は”Yes”manだからね!聞かれたことにはすべて応えるのさ!」
『お前、バ・・・』
バカと言おうとしたVesperの向う脛をヴェロニカが蹴上げる。
「ま、まぁ、素直に教えてくれるのは、とっっっても助かるわ。」
ヴェロニカに蹴られた脛の痛みに耐えながら考える。
ベニーはMr.Houseが君臨するStrip地区を奪いとろうとしているってことか。
それにしても、セキュリトロンを使ってネットワークを監視するなんてことをよく思いついたものだ。
『ベニーはひとりで仕事をしていたのか?下で会ったスワンクは知らねぇみたいだったが。』
「彼には手伝ってくれる友達がいたようだったよ!女性のね。」

女・・・?
Vesperを墓に埋めた後、どこからともなく現れた女がいたとJessupは言っていた。
俺にいい仕事があると教えた、あの女。
最初からベニーと繋がってやがったのか?
ここまで来たことはないけど、ベニーの私室には入ったことがあると思うよ。
なんか楽しそうな話し声が聞こえてきたことがあるから、とYesmanは話す。
くそったれ。
『・・・その女とベニーはどこで出会ったんだ?』
「さぁ?ベニーは友達がいるとしかいってなかったしね。今頃よろしくやってるかもね?いい女だとは・・・」

『うるせぇ、鉛玉ぶちこまれてぇのか。』
「やだな、ボクは知ってることを話してるだけですよ。」
『・・・そのバカみてぇなツラ見てるだけでムカついてくる。』
ヴェロニカが慌ててVesperとYesmanの間に割って入る。
「ちょっと・・・。そういえば、プラチナチップはどこ?部屋にはなかったけど。」
「チップはベニーが肌身離さず持ち歩いているよ!いつも誰かに奪われるんじゃないかってびくびくしてた。」
やはり本人から奪い取るしかなさそうだ。
取り戻したプラチナチップをMr.Houseに届けて・・・。
・・・届けて、それからどうなる?
仕事は終わりだ。
「ボクだったら、Mr.Houseのところに真っすぐチップを持っていくね。」
『・・・で?』
「彼はあなたと味方だと思ってるし。そして彼がみていないところで・・・バーン!!」
ハハハと笑うYesman。
あまりにも無邪気な口調で物騒なことを話すYesmanに、思わずヴェロニカがぎょっとする。
「え?ちょっと、アンタなにを」
背中にゾクソクとしたものが走る。
「あんただって、こんなとこから、こんなゴミ溜みたいなとこから抜け出して、デカいことしたいでしょ?」
女が、言った言葉が鮮明に蘇ってきた。
どこかのカジノで、あの女に持ち掛けられた仕事。
そうだ。チップを運べば大金が入る。うまいことやればトップに立つこともできるかもしれないと。

『・・・てめぇの、そのニヤついた顔はムカつくが、そうだな、考えておこう。』
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