Fallout NewVegas ; Heartache by the Number(2)
アルケイドとオールドモルモンフォートの入り口で別れた。
『せんせい、また来るね。』
「わかった。気を付けるんだぞ。」
ED-Eと一緒にモハビ前哨基地へと向かう。
キャスは相変わらず、酒場でウィスキーグラスを傾けていた。心なしか元気がないように見える。
そりゃ、そうか。キャラバンを手放したんだもんな・・・。
『ねえ、キャス』
「・・・?あんたまた来たの?あの連れはどうしたのよ。」
『私と一緒に旅に出ない?』
『いつまでもこんなとこにいるの?外に出ようよ。』
キャスはぐっと言葉に詰まり、深いため息をついた。
「・・・そうね。いつまでもこんなところにいたってね。いいわ、一緒に行きましょう。」
Whiskey Rose:ウィスキーを飲むとDTにボーナスがつく。アルコールを飲んでもINTの低下と中毒の影響を受けない。
久しぶりにモハビ前哨基から外に出たキャスは嬉しそうだった。
『キャス、外に出て良かったでしょ?』
「・・・そうね。ずっとあそこにいたから、頭が腐るかと思ってたとこだったよ。誘ってくれて、ありがとう」
気分が少し晴れたのか、表情も明るい。
さて、これからどうしようかと話をしているとキャスがキャラバンが襲撃された場所を調べたいと言い出した。
『場所はわかるの?』
「うーん・・・NewVegasの正面辺りって聞いたわ。」
『漠然としてるね。地図見ながら考えようよ。キャラバンのルートはどんな感じ?』
地図を見ながら当たりをつけて、行くことにする。
歩きながらぽつりぽつりと家族の事や今までの事をキャスは話してくれた。
父親のジョン・キャシディーはキャスが幼少の頃に家を出て、そのまま帰ってこなかったそうだ。家族を捨てたとは違うらしい。
母親はそんな父親を待ちわびながら一人でキャスを育てたそうだ。病気で亡くなるまで。
時々Luciaの身の上も聞こうと話を振ってくるが、Luciaは笑ってはぐらかしキャスの話を続けさせる。
「酒場で殴り合いなんかもしたわね。それで友達ができたりとかもした。」
『へぇ!・・・、あれ。あそこにバラモンの死骸と・・・あれは。』
どうやらキャシディー・キャラバンの襲撃現場にやってきたようだ。
キャスが悲し気に周りを見渡す。
「これは・・・。燃えたと言うよりは分解されたというほうが良さそうね。」
『分解された?』
「敵の武器はエナジーウェポンじゃないかってことよ。」
キャラバン隊に黙とうを捧げて、その場を去ることにした。
暫くの間黙って歩いていたが、やっぱり気になる!とキャスが足を止めた。
「リージョンの奴らが襲撃したのかと思ってたんだけど、エナジーウェポンということは違う可能性があるわね。」
『どうしたの、キャス?』
「他にも、うちと同じようにエナジーウェポンで襲撃されたキャラバンがあるのよ。それも、ここ最近。」
他のキャラバン(グリフィンウェアのキャラバン)の襲撃現場も見に行ってみようと話していると・・・後ろから誰かがやってきた。
リージョン兵だ!
律儀にも一言いいに来たらしい。
ぱんちら!(黒です
とんだ邪魔が入ったが、さっさと片付けてグリフィンウェアのキャラバンの襲撃現場へ向かう。
NewVegasを越えて、ずっと北のほうまでやってきた。
『随分と遠くまで来たね。もうモハビから出る境目くらいじゃない?』
「こんなとこで襲われたら、誰も助けに来てくれないわね。」
『あ、あそこ!』
Luciaが何かを見つけた。
襲撃現場を見て回っていると、一枚の紙を見つけた。裏を見てみると・・・地図?
キャスに見せると、Vegas西部からのルートと・・・何もない場所に印が描かれていると言う。
『これは襲撃者が落としていった物っぽいね。』
「もしかして次の襲撃場所?行ってみよう!!」
NewVegsから伸びる大きな道沿いに来た。
当たりを見渡すと、エナジーウェポンによる灰と共に襲撃者の死体もあった。
これは・・・?シーザー・リージョンではなさそうだ。
『この人たちは・・・誰?』
「こいつらは、ヴァン・グラフの一味だ・・・」キャスが足で死体を転がす。
『なんでキャラバンを襲撃してたの?ヴァン・グラフって確かフリーサイドで武器売ってる人たちだよね。』
キャスは腕組みをして、その場を行ったり来たりしている。
「ヴァン・フラフは競争相手を蹴落とすなら、殺しだって躊躇なくするわね。でもキャラバンはこいつらの相手ではない・・・。」
『キャラバン隊の競争相手は・・・』
キャスとLuciaが顔を見合わせる。
「クリムゾンキャラバン。」
キャスは今にも殴り込みをかけようとしている。
「許せない」
『待って。待って、キャス。』Luciaが慌てて止める。
気持ちはよくわかる。一緒に突撃して、殺してくることもできるだろう。でも、今の状態では只の殺人者になってしまう。
『証拠を集めよう。今のまま、あいつらに殴り込みかけて殺しても意味がないよ。』
キャスは腕組みをして、背を向ける。
お腹がぐうと鳴ったのを機に、キャスがLuciaのほうに向きなおった。
「あんたが・・・アリスとヴァン・グラフを探るのは止めやしないわ。でも証拠が見つからなかったら、私は突撃するわよ。」
『OK。わかった。お腹も減ったし・・・一度戻ろうか?』
「どこに行くつもり?モハビ前哨基地はごめんよ。」
こういう時に戻ることができる家が欲しいな・・・とLuciaは考えた。あ、そうだ。
『キャス、ノバックへ行こう。』
「・・・で、何しに来たんだ?」
『ブーンさん、キャスよ。今一緒に旅をしているの。』
「あいつはどうした?アルケイドは?」
『途中まで一緒だったんだけど、今はオールドモルモンフォートに戻ってもらってる。』
「・・・そうか。」
ブーンはいつものように押し黙ってキャスを見つめた。
久しぶりにブーンの顔を見ることができて、Luciaは嬉しかった。元気そうだな。よかった。
モーテルの部屋に戻ると、キャスが矢継ぎ早にブーンの事やあれこれを問いかけてくる。
「ねえ、あの仏頂面の男、なんなの?この前一緒に来た男前とは全然タイプが違うけど。」
『ブーンさんの事?ブーンさんは、元々NCRの兵士なんだって。銃の腕とかすごいんだよ!』
「ふーん。てかさ、あんたはなんであちこち旅してるわけ?」
キャスにベニーに頭を撃ち抜かれ、荷物を奪われたことや今までの旅の経緯を話す。
驚いたり笑ったりしながら、キャスも色々と話をしてくれた。
NCRの事は文句を言いながらも支持しているようだ。
ふむ・・・NCRか。