久しぶりにLucky38に戻ってきた。
皆は元気にしているだろうか。
『ラウルはアルケイド先生には会ったことあるよね。』
「オールドモルモンフォートにいたやつだろ?会ったことないのは、ボスのブーンさんだけじゃないかな。」
『もう・・・!』
Luciaが頬を膨らませて、そっぽを向いた。
プレデンシャルスイートへと向かう。
キャスとベロニカが真っ先にLuciaに気づき、出迎えてくれた。
「おかえり、Lucia。ラウル。」
『・・・ただいま!』
嬉しそうにしているLuciaを、キャスとベロニカもにこにこと見つめる。
ああ、この子はここで家族を得ることができたんだな。そうラウルは思った。
そういえば、ときょろきょろと辺りをLuciaが見回すのを見てキャスがブーンなら奥の部屋にいるよと教える。
奥の部屋を覗くと、ブーンが武器の整備をしていた。
『ブーンさん。』
呼ばれて顔をあげたブーンがLuciaを見止めると、ふと微笑んだようにラウルには見えた。一瞬のことだったが。
そしてラウルに視線を移す。再び、いつもの顰め面だ。
「ラウル・アルフォンス・テハダだ。ボスには世話になっている。」
「・・・。Lucia、こいつは?」
『ブラックマウンテンで会って、仲間になってもらったの!ラウルいい人だよ』
Luciaの言葉に無言で頷き、ラウルを矯めつ眇めつするブーン。
値踏みされてるな、とお互いに感じているようだ。
黙ったまま、互いを見つめ続ける。
様子がおかしいことに気づいたLuciaが声をかけようとしたとき、ラウルが口火を切った。
「その銃・・・撃つ時少し右にズレるだろ。貸してみな。」
ラウルがブーンに向かって手を出す。
一瞬躊躇ったブーンだが、大人しく銃をラウルへ手渡す。
部屋の外で見守っていたキャスとベロニカが、ほっと溜息をついたのが聞こえた。
振り返れば、入り口のドアから2人で覗いているではないか。
『もう!2人ともなにしてるの?』
「あはは。まぁ、いいじゃない。そうそうLucia、美味しいお茶が手に入ったんだけど一休みしない?」
「あら、いいわね。じゃあ私もとっておきのお菓子を出しちゃうかな。」
『やったー!ラウル、ブーンさん、キッチンにいるね!』
「おー、後で行くよ。ボス。」
残された二人は無言のままだ。
かちゃかちゃとラウルが銃を弄る音だけが響く。
「NCRの第一偵察隊にいたんだってな。」
「・・・昔の話だ。」
「200年ほど生きてきたグールに言わせりゃ、戦争なんてもんは碌でもないね。」
「・・・。」
「それでも、ボスが味方したいと思う方に俺は力を貸してやろう。」
そのころキッチンではアルケイドも合流して賑やかなお茶会になっていた。
「ブーン、最近黙りこくったままだったけど、Luciaが戻ってきたら流石に嬉しそうにしてたわね。」
「え!?あれ、嬉しそうにしてたの??キャス、どのへんが嬉しそうにしてたと思うの?」ベロニカが驚いて茶を吹き出しそうになる。
Luciaにお茶のお代わりを入れながら、キャスはうーん・・・と考える。
「・・・表情かな?」
『キャスさん、ブーンさんの嬉しそうな表情わかるの?』
「え、あんたわかんないの?」
そんな3人をアルケイドが眺めている。女3人寄れば、なんとかだって奴だな。
それでも、こんなに賑やかなのは久しぶりだ。嬉しくなるのもわかる。
そこへふらりとラウルがやってきた。
「ボス。ここにある道具じゃ、ちょっと足りないんだ。俺の工房に道具を取りに行きたいんだが。」
『いいよ!じゃあ、今晩はここに泊まって明日出かけようか?』
「助かるよ、ボス。ブーンの銃、なかなか手強くてな・・・。」
ED-Eが頭の上をくるくる回り、REXが足元に寝そべっている。
久しぶりに穏やかな時間が流れていた。
北にあるラウルの工房へと向かう。
向かったはずだったのだが・・・、どこかで道を間違えてしまい似たような小屋の前にきていた。
『ラウル、ここ?』
「うーん・・・?小屋は似ているんだけど、ここじゃないかな。」
『あれ?・・・あ、曲がるところ間違ってた。ごめん、ラウル・・・。」
にこりと笑ってLuciaの頭を撫でる。
「いいってことよ、ボス。それだけ長くデートができるってもんだ。」
『もう!あ、そういえばブーンさんが、ラウルともう少し話がしたいって昨日言ってたよ。』
「・・・ほう?」
ラウルの小屋へ行こうと道を戻ろうとしたとき、坂道の途中に人が立っていることに気づいた。
なにしてるんだろ?
Luciaとラウルは顔を見合わせて、男へと近づいて行く。
Lucia達が近づいてくることに気づいた男は、タバコの煙を吐き出しながらニヤリと笑った。
「あんたたち、ここから先に行くつもりか?Boomerたちの爆破の餌食になるぞ?」