Fallout NewVegas ;For Auld Lang Syne(3)

Pip-Boyの地図を見ながら山の中へとどんどん進むLucia。
その後ろを、アルケイドは黙ってついてくる。

『せんせい。』
「どうした、Lucia?」
『元気ないね。どうしたの?』

声をかけた皆が、力を貸してくれると言っていたのに、アルケイドはなんだか浮かない表情をしている。
もしかして、モレノが来ないのではないかと心配しているのだろうか?

Luciaの問いかけに暫く逡巡していたが、ぽつりぽつりと心の内を語り出した。

「彼らは、俺に親父を重ねていると、思うんだ。」
『・・・うん?』
「俺は・・・親父にはなれない。」
『せんせいは、せんせいだよ。お父さんみたいになる必要はないんじゃないかな。』
「・・・そうか。ありがとう。」

そんな話をしているうちに、岩場に隠れるように作られた扉を見つけた。
エンクレイブ レムナントのバンカーだ。
アルケイドと視線を交わし、中へと入る。

中に入ると、大きな扉が見えた。
どうやらコントロールパネルにパスワードを入力する必要があるようだ。
皆がそれぞれ教えてくれた言葉を繋ぎ合わせて、入力する。

「旧友よ、Navarroを思い出せ」

暫く使われていなかったこともあり、ドアは軋んだ音を立てながらゆっくりと開いていった。

中には、ベルチバードやパワーアーマーが並んでいる。
思わず魅入ってしまうLucia。
あちこち見て、触って回るLuciaにアルケイドが声をかけた。

「Lucia。皆が待っている。」

ジュダ・クリーガーにドクター・ヘンリー、デイジー・ホイットマン、ジョンソン。少し離れた場所にオリオン・モレノが立っていた。

部屋に入ってきた2人に気づくと、ジュダが手を挙げてLuciaを呼ぶ。
「やぁ、遅かったな。」
『みんな、集まってくれてありがとう。』
「それで?わしらは何と戦うんだね?」

Luciaがちらりとアルケイドに視線を走らせる。
『あのね、NCRがリージョンと戦うときに、力を貸して欲しいの。Hoover Dumで近々大きな戦いが起こると思う。』
ジュダはLuciaの言葉を聞いて目を細めた。
デイジーが空から援護し、残り4人は地上戦だ。すぐさま戦いの場面を描き出す。

「とはいえ、モレノが納得するとは思えない。奴を説得してきてくれ。」

Luciaとジュダが話をしている隙に、モレノが部屋から出て行ってしまった。
慌てて追いかけると、モレノはパワーアーマーを着こみ、武器を手にLuciaとアルケイドに向き直る。

「クソ!NCRなどに手を貸すなら、俺は降りる!」


※スピーチチャレンジあり

『え、NCRにエンクレイブ レムナントの力を見せつけてやればいいんだよ!私たちと敵対することは望んでないでしょ?』

「・・・この俺が説得されちまうとはな。いいだろう。だがNCRのクソどもが射線に入ってきても俺は撃ち続けるからな。」
『わかった。それでいいよ。』
ジュダに報告しようと部屋へ戻る途中、アルケイドがふと足を止める。

Luciaは何も言わずアルケイドを見つめた。

「・・・皆が力を貸してくれて、本当に良かった。」
『うん。』
「彼らは親父の戦友だ。俺じゃない。一緒に戦おうと思うのは、おこがましいと思うんだ。」
『じゃぁ、どうするの?』

心配そうにするLuciaに向かって、ふと笑う。
NCRとリージョンの戦いが始まったら、あちこちが戦火に焼かれるだろう。
Freesideだって例外じゃない。
医者は1人でも多くいたほうが良いだろう。
そう、アルケイドは呟く。

『・・・わかった。せんせいはFreesideで皆を助けてあげて。』
「Lucia。」
『でもね、忘れないで欲しいの。せんせいは、せんせいだから。レムナントの皆には皆の戦いがあって、せんせいには、せんせいの戦いがあるんだよ。』

「ありがとう。・・・すぐに戻る。」
アルケイドはLuciaを抱きしめ、そしてバンカーを出て行った。



独りで戻ってきたLuciaにジュダが声をかける。
モレノを引き留めることに成功したことを伝えると、ほっとした表情をした。

デイジーからパワーアーマーの訓練をうけるように言うと、ジュダはドクター・ヘンリーと作戦について話込み始めた。
※デイジーに声をかけると、パワーアーマーをくれて訓練を受けられる。

「では、Hoover Dumで会おう。リージョンたちを蹴散らしてやろうじゃないか。」

5人に礼を言い、Luciaもバンカーを後にする。

※クエスト:For Auld Lang Syne 完了



バンカーを出ると、アルケイドがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
思わず駆け寄る。

『せんせい!』
アルケイドは、Luciaにパワーアーマーを手渡してきた。
「これは、俺がHoover Dumでの戦いで着ようと思っていたものだ。Luciaに使ってもらえたら嬉しい。」
『ありがとう、せんせい。』

アルケイドが優しくLuciaの頭を撫でる。

「ブーンは」
『ブーンさん?』
「知っての通り、口数が少ないけど、でも俺は良い奴だと思ってるよ。」
『うん。』
「キャスには、酒飲みすぎないように言ってくれ。」
『・・・うん。』
「みんなによろしくな。」

Luciaの瞳から零れた涙を、そっと拭う。

「Fortis fortuna adiuvat(運命は強きものを助く)。Lucia、幸運を。そしてお別れだ。」



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