
入り口を見張っている兵士に一声かけて、キャンプマッカランの中へ入る。
『うわぁ、広い』
「・・・物資集約基地としても使われていたからな。」
『今は?』
「シュー大佐や他の兵士たちに話を聞けば、わかるだろう。」
どうやらシュー大佐は空港の建物の中にいるようなので、そちらへと向かう。
壁の向こう側からは、フィーンドたちと戦っているのか銃撃戦の音が聞こえてくる。
建物の中は広いが、少々閑散としているようだ。日中は兵士たちも外回りなどにいっているのだろうか。
「・・・シュー大佐」
ブーンが一人の男性に声をかけた。どうやら彼がシュー大佐のようだ。
呼ばれた男は立ち上がり、2人を代わるがわる眺めながら近寄ってくる。
「?君たちは・・・?」
「・・・俺は、以前第一偵察小隊に所属していた。引退したが。」
「ふむ。で、こちらのお嬢さんは?」
『私は、Luciaと言います。』
「Lucia・・・Lucia・・・聞き覚えがあるよ。君たちはボルダーシティやネルソンで我々を助けてくれたね。」
そういうとシュー大佐はにっこりと笑って、ブーンとLuciaに握手を求めた。
「・・・戦況はどんな感じだ?」
「そうだな。最高ではないが、最悪でもないよ。フィーンドと地元民の抵抗に少々手を焼いてはいるが。」
『落ち着いているのね。』
「まぁ、私にできるのはそれくらいだからね。」
「・・・じゃあ、また。近いうちに。」
「ああ、君たちなら歓迎するよ。また来てくれ給え。」
もう一度シュー大佐と握手をして、部屋を後にした。
キャンプマッカランを出ると、すっかり日が暮れていた。
遠くに凄く明るいタワーのようなものが見える。
『ブーンさん、あれ何?』
「あれはストリップ地区にあるゴモラかラッキー38か・・・。まぁ、カジノとホテルだ。」
目を細めて遠くの灯りを眺める。
あそこに・・・ベニーがいるのか。
少し身震いすると、ED-Eが心配そうに体を寄せてきた。
『大丈夫だよ、ED-E。それよりあんたのデータのこと、アポカリプスの人に話聞かなきゃね。』
と、建物の陰に誰かいることに気づいたED-Eがビームを撃ちながら、突撃していく。
「Lucia気を付けろ、奴らはレーザー銃を装備したりしているからな。」
『わ、わかった!』
廃墟から飛び出してきたフィーンドたち全て片付けていると、道の向こう側で戦っているキャラバンの一団が見えた。
「・・・手助けしてやるか。」
『うん!』
フィーンドを一蹴して、キャラバン隊と一緒にフリーサイド北門へ向かう。
「助けてくれて、ありがとう。ここからオールドモルモンフォートに行けるよ。」
『ありがとう!あなた達も気を付けてね。』
門の中に入ると、ひげ面の男とぱりっとしたスーツを着た男が何やら交渉している場面に遭遇した。
よくよく話を聞いていると、街中を移動するのに傭兵を雇っているようだ。
不思議そうな顔をして見ているLuciaにスーツの男が声をかけてきた。
「フリーサイドは治安が悪いと言うからね。値段は法外だけど、命あっての物種だ。」
『え、街中なのに護衛が必要なほど治安が悪いの??』
ブーンのほうを振り返るが眉を顰めたまま黙っているので、当たり障りのない会話をしてその場を離れる。
『あ、ここだ。』
「・・・どれ、中に入ってみるとするか。」