次はどうしようかなと地図を見ていたら、モハビ前哨基地で出会ったキャスが教えてくれたクリムゾンキャラバンが近くにあることに気が付いた。
アルケイドと一緒に行ってみようかな?
『ねえ、せんせい。クリムゾンキャラバンって知ってる?』
「クリムゾンキャラバン?近くに本部があるが・・・何の用があるんだ?」
『あー、うん。ちょっと仕事をしてみたら?って勧められて。』
「まぁ・・・急成長している組織とでも言っておくか。トップはやり手らしいぞ。」
オールドモルモンフォートからフリーサイドの北門を出て、クリムゾンキャラバンの本部へと向かう。
Crimson Caravan Company
ガレージの扉を開けて中に入る。
アルケイドが誰かが向こうからやってくるのに気が付いた。
「おい、Lucia。向こうから誰か来るぞ。知り合いか?」
『え?クリムゾンキャラバンに知り合いなんて・・・』
笑いながら近づいてきた男の顔をよくよく見ると、Goodspringsでギャングたちとの抗争を手助けしたリンゴだった。
そういえば・・・クリムゾンキャラバン所属だとか言っていたっけ?よく覚えていないけど。
Luciaを認めると握手を求めてきた。流れるような動作でアルケイドにも握手を求める。
「いよーう!ようやくGoodspringsでの約束を果たすことができるな。これが残りの報酬だ。」
『そんな話してたっけ?まぁいいか。ありがとう。ねえ、教えて欲しいことがあるんだけど』
「なんだ?」
『例えば・・・仕事を貰いたいと思ったら、どうしたらいい?』
リンゴは驚いて、Luciaとアルケイドをまじまじと眺めた。どう考えても商人と言った雰囲気の2人ではない。
「仕事?・・・まぁ色々あるからアリスなら何か見繕ってくれるかもな。」
『アリス?誰??』
リンゴはモハビ支社を運営しているアリス・マクラファティはメインオフィスにいると言って、建物を指さした。
リンゴに礼を言ってメインオフィスへと向かう。
中にはスーツを着込んだ厳しい顔をした女性が座っていた。声をかけてみよう。
『はじめまして。』
「Crimson Caravan Company New Vegas支店へようこそ。いらっしゃいませ。」
『何か仕事があると聞いて来ました。』
アリスもLuciaとアルケイドの2人を見比べる。ふん、と軽く鼻を鳴らした。
「そうですね・・・キャラバン隊とガードの仕事には空きがありませんが、使者の仕事を募集しています。」
『わかったわ、どうすればいい?』
アリスは机の中から封筒を取り出した。
「キャンプ・マッカランにいるヒルダーン博士に請求書を届けて欲しいのです。」
『キャンプ・マッカランね。わかった、引き受けるわ。』
「届け終わりましたら、戻ってきて報告してください。何か新しい仕事があればお知らせしましょう。」
アリス・マクラファティから請求書の入った封筒を預かり、アルケイドと共にクリムゾンキャラバンを出た。
キャンプ・マッカランの入り口にいた兵士に声をかけて中に入る。
見知ったようにNCR領地に入るLuciaをアルケイドが不思議そうに眺める。
「そういえば、お前と一緒に来た男はNCRの関係者だろ?」
『ブーンさんのこと?うん、昔偵察部隊にいたって言ってたよ。色々あって私の旅に付き合ってもらってたの。』
「NCRの手伝いをするというのは、いい考えだと俺も思うよ。」
建物の奥の部屋に白衣を着た男性が立っていた。あれかな?
そっと声をかけてみるとヒルダーン博士だった。
クリムゾンキャラバンからの使いだと言うと、すぐに合点がいったようで渡した請求書を確認し始めた。
請求書を渡し終えたので、クリムゾンキャラバンへ戻ろうとする2人にヒルダーン博士が声をかけてきた。
「君たち、一つ仕事をやってみないか?」
『え?どんな仕事?』
そこでヒルダーン博士は滔々と花が咲きトウモロコシが実った畑が広がる風景描写を語り出した。
目を瞑り、少し自分に酔っているように見える。結局何をして欲しいんだろう?
アルケイドはというと、不機嫌そうに黙って耳を傾けている。
『で、博士。私たちに何をして欲しいの?』
「ああ、この先にあるVaultから技術データを持ち帰って欲しいんだ。」
クエスト:There Stands the Grass 開始
時間があるときにやってみようかなと考えつつ、部屋を出るとアルケイドがLuciaの腕を急に掴んだ。
『わ、どうしたの?』
「君は・・・この話をどう思っているんだ?」
『え?』
「俺にはどうも・・・。奴はデータがというが、基本的資源が帳簿上の数字でしかなくなったら、それは公共事業として非人道的なものだと思うんだ。」
『せんせいは・・・本当に真面目だね。』
にっこりと笑うLuciaを見て、褒められたと気づくと少し頬を染めてアルケイドは視線を外した。
ふと、向こうの部屋を見るとヒルダーン博士に気づかれないように手招きをしている女性が。
そっとそちらに近づいて行く。
女性はヒルダーン博士の視界に入らないように身を隠しながら、小声で2人に仕事を頼まれたのか?と聞いてきた。
Luciaが小さく頷くと、女性は深いため息をついた。
「何人も傭兵を雇ってVault22へ行かせたんだけど、戻ってこないのよ。」
「なんだって?そんなこと、奴は一言も言ってないぞ。」
「キーリーという研究者もVaultへ向かって、戻ってきていないの。その話もしていないの?」
『マイナスな話はひとつも』
アンジェラと名乗る女性は、Luciaとアルケイドを憐れむような目で見つめている。
どうやら・・・ヒルダーン博士は一筋縄ではいかない人物のようだ。
アンジェラから、キーリーを探して欲しいと頼まれた。
今すぐはVault22へ行けないけど、近いうちに向かうねと約束してキャンプマッカランを後にした。