
いよいよ・・・Bennyと対峙する。
そう思うとLuciaは少しだけ息苦しくなった。
ラウルがそんなLuciaを心配そうに見つめる。
GoodSpringsの墓地で、猿轡噛まされて手足を縛られ・・・Bennyに頭を撃たれる瞬間が脳裏をかすめた。
今回の出来事の発端。
「・・・ボス?」
ラウルの声にはっとする。いけない。この過去と決別するためにも、頑張らないと。
『ごめん、ラウル。行こう』
13Fへ再びエレベータで上がる。
部屋に入る前に、ラウルが声をかけてきた。
「ボス。」
『・・・うん?』
「俺は、このじじいは、ボスの味方だからな。」
ビッとE-DEも音を出して、Luciaの周りをまわる。
『ありがとう・・・2人とも。さぁ、行こう。』
無言でBennyの部屋に入る。
スツールに腰かけ、ぼんやりしていたBennyがこちらに気が付いた。
最初はLuciaが誰かわからず、記憶を辿るような顔をしていた。
どこかで見たことがあるような・・・ないような・・・そんな表情だった。
『Benny・・・』
Luciaが苦し気な声を出すと、GoodSpringsで自分が始末したとはずの運び屋であることに思い当たったようだ。
「お前は・・・運び屋か・・・。どうやってここに入り込んだ。」
『・・・。』
「あいつか、Swankの野郎だな。裏切り者のクソったれが。」
BennyがSwankを罵る。
ちらりとLuciaの後ろにラウルやE-DEがいることを確認すると、懐柔しようと優し気な声音で話かけてきた。
「気が狂って、俺を訪ねてきたのかいベイビー」
そう言いながらLuciaを舐めるように見つめる。その目にぞっとする。値踏みされているのだ。
「Goodspringsで見た時は・・・もっと大人の女だと思ったんだがな。まぁいい。俺たちは一緒に仕事ができる。」
Black Widowのスキルを取っているので、大人の会話でBennyに色目を使うこともできる。
だが、Luciaは嫌悪感が先立ってしまい、言葉が出てこない。
『ぷ・・・プラチナチップを、返して』ようやく絞り出すように出てきた言葉はこれだけだった。
「Ok、Okベイビー。プラチナチップね。それについては、奥の部屋で大人の会話をしてからにしようや。」
寒気が背中を駆け上がる。もう駄目だ。手にしたライフルの引き金に指をかけた時。
ぱーーーんと乾いた音と共に、Bennyが床に転がった。
振り返るとラウルが怒りに顔を引き攣らせ、手にした44口径マグナムリボルバーでBennyを撃ち抜いていた。
「ボスを・・・侮辱するのは、俺が許さん」
『ラウル!!』
E-DEが心配そうに身を寄せてきた。
『大丈夫。ごめん、ラウル。ありがとう。』
ラウルがLuciaの頭を抱き寄せ、ぽんぽんと慰めるように叩く。
プラチナチップを取り戻した!
『・・・Mr.Houseの所に戻らなきゃね。』
クエスト:Ring-a-Ding-Ding 完了