キャンプ・ゴルフで聞いたチーフ・ハンロンの話を頭の中で反芻しながら歩いていると、ブーンが不意に立ち止まった。
『どうしたの、ブーンさん?』
「・・・レンジャーステーション・ブラボーの近くに、ビタースプリングスがある。」
『ビタースプリングス?どこかで聞いた気がするな・・・。』
Luciaがどこで聞いたのか懸命に思い出そうとしていると、ブーンは口を噤んでしまった。
行きたいという意思表示なんだろうかと表情を窺うが、眉間に深く皺が刻まれているのが見えるだけだ。
ビタースプリングス。
思い出した。
ノバックでマーニー・バルカスと話をしたときに、聞いたんだ。
ビタースプリングスで起こった事件を境に除隊した、とそう言っていた。
除隊することになった出来事ってなんだろう。
「・・・俺は、ツケを払っていない。」
『ツケ?なんの話なの?』
「俺が生きているのが、その証拠だ。」
ブーンが目を瞑る。
「Lucia。ビタースプリングスへ行きたい。」
ビタースプリングスは小高い丘の上にある小さなキャンプといったところだった。
ここで何が起きたんだろうか?
ブーンの方を見ると、小さく頷く。
騒ぎを起こしていたカーンズを探すためにキャンプ・ゴルフから派遣されたという。
「少し離れた場所にあるコヨーテ・テイルリッジに・・・我々は陣取って、カーンズの撤退を待ち伏せた。」
苦しそうな、懐かしそうな眼差しで辺りを見回す。
こっちだ、と指さす方へ歩みを進める。
コヨーテ・テイルリッジへと来ると、ブーンは深いため息をついた。
この場所で撤退するカーンズを待ち伏せし、排除するのがブーン達のいた部隊の仕事だった。
遠くで銃声が聞こえだし、掃討戦が始まったことがわかった。
しかし蓋を開けてみると、逃げ出してきていたのは女性や子供達、年寄りといった非戦闘員ばかり。
無線で司令部に確認を行ったが、兎に角弾が無くなるまで撃てと命令した来たというのだ。
『え?司令部は話を聞いてくれなかったの?』
「いいから撃て、とそれだけだった」
ブーンの唇が歪む。
その後、現場を指揮していたギレス少佐は逃げ出し、ダドリ大尉が事態の収拾に奔走する。
混乱が収まったころには・・・どれだけの人々が死んでいたことか。
「Lucia。しばらくここにいたい。色々考えたいことがあるんだ。」
『いいよ。わかった。』
草むらで横になっていたLuciaの肩をブーンがそっと叩く。
銃を構えて小声で様子がおかしいことを知らせてくる。
リージョンの大軍がビタースプリングスへ向かっているというのだ。
NCRの兵士が少ない難民キャンプに狙いを定めて奴隷狩りをしているらしい。
「・・・かなりの数だ。Lucia、お前はここにいろ。」
『やだよ。一緒に戦うよ。』
「・・・いつ終わらせることができるのか、いつも考えていた。」
『うん。』
「お前がノバックに現れた時、やっと終わらせられるんだと思ったんだ。」
走り出したブーンを追いかけ、ビタースプリングスへ向かう。
※3回くらい波があったような気がする
夜通し襲撃してくるリージョン兵を撃ち殺す。
難民やNCR兵に被害ができないように気を付けながらの銃撃戦は、かなり神経を使う。
キャンプ内に紛れ込んできたリージョン兵を片付けて・・・ようやく全てが終わった。
ほっと一息つくとLuciaは思わずその場にへたり込む。
ED-Eが心配して、頭の上をぐるぐると回り出した。
「・・・。」
『リージョン兵撃退できたみたいだね、ブーンさん。』
「俺は、ここで終わりを迎えると思っていた。」
カーンズの非戦闘員たちを虐殺した、そのツケを支払うために自分はビタースプリングスで”終わる”ことをずっと考えていた。
しかしリージョン兵を撃退し、また生き残っている。
俺はまだ待っているんだ。
そう話すブーンの顔は以前のように苦悩に満ちたものではなかった。
それでも、まだ自分が生き残っていることへの葛藤があるようだ。
『起こってしまった事をやり直したり、なかったことにはできないけど』
「・・・ああ。」
『それを胸に抱いて生きていくことが、償いになるんじゃないかと思うの。』
「・・・。」
そうだな、とブーンが呟く。
いつも終わらせることばかり考えていた。
俺と出会ってしまったために、カーラもあんな目にあってしまったと、そう思っていた。
「Lucia。」
『なに?』
「・・・ありがとう。」
クエスト:I Forgot to Remember to Forget完了
※ちなみに、このクエストが発生するためにはちょっと特殊なポイントを稼ぐ必要があります。特定のクエストを一緒にクリアするとか色々あります。
※追記その2。個人クエクリアで取得する”サバイバルアーマー”。
ダサくて嫌いなんですよ・・・。
↓これです。
よりDT(防御力)高い防具渡せば着てくれるかと思って渡すのですが、着てくれず・・・。
MODで剥いでやりましたw
なので、うちのブーンさんはいつまでもTシャツ姿です。