
用心しながら走り去るプラサド少佐を見送ると、WraithはZephyrに手を差し出し握手を求めた。
『君は不本意かもしれんが、よろしく頼む。』
Zephyrは差し出された手をむっつりと眺めている。
そこにラジオから銃声と酔ったような笑い声が聞こえてきた。
どうやら襲撃者たちが獲物を追い回して楽しんでいるようだ。
「・・・まずは、こいつらを同じ目に合わせる。話はそれから。」
辺りの死体から銃弾や薬品を拾いあげるZephyr。
『ダムへ向かい、プラサド少佐と合流する。いくぞ。』
「OK。」
道すがら、仲間たちの遺体を見つける。
至近距離で撃たれた者、生きながら腹を捌かれた者・・・。
ドーシー一家と名乗るならず者達は、やりたい放題のようだ。
どこからか言い争うような声が聞こえてきた。
ドーシー一家の手の者が誰かに銃を向けて脅しているのが見える。
『まずい。』
「くそっ。アンタのお友達が来ちまったじゃないか。」
ドーシー一家のメンバーは、後ろ手で縛られたレンジャーの頭に銃口をぴたりとあてる。
殴られ片目を腫らしているレンジャーは、ぼんやりと2人を見上げた。
「銃を捨てな。お友達が死んじまうよ。」
『2対1で勝てると思うのか?彼女が死んだときには、お前も彼の世行きだ。』
Zephyrが無言で頷く。
「アンタたち、ドーシー一家ってなんなの。ここで待ち伏せしてたってわけ?」
Zephyrの言葉にドーシー一家のメンバーが蔑んだような表情をした。
「ドーシー一家を知らない?はっ、とんだ馬鹿野郎だな。ここらはアタシらのシマだよ。」
『・・・お前と話をしている暇などない。今すぐ失せるか、ここで殺されるか。どちらを選ぶ。』
Wraithの冷たい声に、ドーシー一家のメンバーがは舌打ちする。
罵りの言葉を吐きながら、走り去る姿を見届けると、レンジャーの腕を縛っていた縄を解き立たせてやる。
「あ、ありがとう・・・。助かった・・・。」
『まずは傷の手当だ。』手持ちの薬で手当てを行う。
Zephyrが辺りの様子を確認するために、その場を離れる様子をレンジャーはじっと見つめていた。
「で、あんた名前は?他の皆はどうしたの?」
ドーシー一家の姿が見当たらないことを確認したZephyrがレンジャーに声をかける。
Jodie.Bellと名乗るレンジャーは、唇を噛み締め首を横に振る。
彼女がいた輸送部隊も、ドーシー一家の襲撃を受け大破してしまったという。
「トム少佐・・・。彼は生きているかも!」
その名前に聞き覚えのないWraithは首を傾げる。
『そんな名前は聞いたことがないな。我々の部隊を率いているのはプラサド少佐だと思うが。』
Jodie.Bellは初めて、微笑んだ。
トム少佐というのはあだ名だと言い、これで気が引けるかもしれないとタバコを手渡してきた。
少し休んでから後を追いかけるというJodie.Bellを置いて、2人はダムへと続く道を進んで行く。
先ほどのドーシー一家のメンバーが仲間を連れて待ち伏せしていた。
2人を挑発するようにレンジャーの頭を撃ち抜くのが見えた。
※ここでは、タンクを撃って周りに被害を与える方法や遮蔽物の使い方などを学べる。
全て片付け終わると、無線からプラサド少佐の声が聞こえてきた。
「レンジャー、こちらプラサド少佐。ダムまで来た。」
プラサド少佐は無事ダムまで辿り着いたようだ。
しかし・・・戦況がいいとは言えない状況だ。
『急ぐぞ。』
「OK。」
レンジャーたちの死体の山や、吊るされた死体を後目に2人はダムへと突き進む。
『・・・くそが・・・。』
思わず罵る言葉を吐き出したWraithの顔をZephyrがまじまじと見つめる。
『なんだ。』
「いや・・・アンタもそういうこと言うんだな。サムがアンタのこと褒めちぎってたからさ。」
『サム?誰だ?』
Zephyはポケットに仕舞い込んでいたドッグタグを手にする。
「アタシの弟。さっき死んだよ。」
ドーシー一家に襲撃され、あの場を離れる時にZephyがドッグタグを拾い上げていたことを思い出す。
弟と2人、家を飛び出して彷徨っていたところをデザートレンジャーに拾われたという。
サムは一度だけ、WraithやFlashとのチームに参加したことがあるらしい。
『・・・そうか。』
ふと、Zephyが目で合図する。
見ると大きなウォーマシンが歩き回って警戒している。タレットもあるようだ。
さて、どうするか。
※この時点では、ウォーマシンに喧嘩売っても勝てない。
敵の周りの赤枠(警戒線)に触れなければ戦闘は始まらないので、避けて通るとよい。
Nerd Stuff(1)やMechanics(1)のスキルがあるなら、コンピュータを操作したりパイプに細工したりしてウォーマシンとタレットを破壊することが可能。
Wraithがコンピュータの操作を行うと、タレットがウォーマシンに向かって攻撃を始めた。
相撃ちになり双方が沈むのを確かめ、先を急ぐ。
「レンジャー、聞こえる?こちらプラサド少佐。」
無線から、囁くようなプラサド少佐の声が聞こえてきた。
その後ろから爆音。
ドーシー一家を何人か片付けはしたが、まだまだダムの上に居座っている。
「気を付けるんだ。そして・・・できる限り・・・早く」
笑い声とロケットの発射音。
どうやらダムの頂上に辿り着いたようだ。
『・・・いくぞ。』
「Roger」
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