Wasteland3 アリゾナからコロラドへ

Wasteland3 アリゾナからコロラドへ

深々と降り積もる雪を、男は車の窓から眺めていた。
タイヤが雪を踏みしめる音が聞こえてくる。

アリゾナからコロラドへ。
彼らデザートレンジャーの部隊「ノーベンバー」は上層部からの指示で、コロラドへと向かっている。

コーチスAI達との戦い(Wasteland2の話)に終止符を打つために、自らの基地を攻撃しなくてはならなかったのだ。
苦難が続く中、己の事をコロラドの所有者、家長であると名乗る人物からの接触があった。

家長は、自分の地位や所有物を子供たちに狙われているという。
子供らを排し、代わりにデザートレンジャーを擁すると打診してきた。
力を貸してくれるなら、アリゾナに食料や必要な物資を送ろうと。

親子げんかに首を突っ込む気はなかった。
しかし、受けざるを得ない程、デザートレンジャーたちは窮していた。
実際の所、断ることなどできないのだ。

部隊を率いるプラサド少佐の声が無線から流れてくる。

「・・・雪がすごいな。」
隣で銃の手入れをしていた男が声をかけてきた。
「Wraith、お前コロラド出身だったっけ?」
『いや、俺はもっと北だ。Flash、お前は?』
「俺か?俺はカルフォルニアだ。波が恋しいな。」

Wraithは青年時代まで、冬は雪で閉ざされる山奥の小さな鉱山で育った。
小さい頃は陰鬱な気分になる冬が嫌いだった。
街を飛び出してデザートレンジャーに入隊して、何年経ったのだろう。
雪を見て”懐かしい”という気持ちになるとは思っても見なかった。

隣でカルフォルニアの波の事を話すFlashとは付き合いが長く、背中を預けることができる貴重な存在だ。
「いったい、いつになったら着くんだろうな。」
『さっき斥候が氷の厚さを確認してた。ダムを越えた先にあるコロラド・スプリングスに向かっていると少佐が言ってたから、あと少しだろう。』

すると。
前を走っていた車にミサイルがまともに着弾し、吹っ飛んでいった。
爆風でWraith達が乗っていた車も横倒しになる。

「襲撃だ!!武器を取って戦え!!」

態勢を立て直そうとしていたFlashが撃たれたのが見えた。
駆け寄ろうとするが、銃弾が雨のように降り注ぎ、車の陰に身を隠すので精いっぱいだ。

「持ちこたえるんだ、ノーベンバー!!」
プラサド少佐が叫ぶ。
見れば、少佐はKodiakを修理して反撃に出ようとしているのだ。

ライフルを構えて襲撃者を迎え撃つ。
襲撃者たちは、自分たちをドーシー一家だと名乗った。
こいつらは一体、何故俺たちを襲うんだ?
家長の罠か?



最終的には、Wraithともう一人、Zephyrと名乗るレンジャーの2人だけが生き残った。
Zephyrは足元に倒れている少年のドッグタグをポケットの中に仕舞い込む。
「・・・あいつら、許さない。」
もう事切れている敵の頭に、更に鉛玉をぶち込んだ。

『もう、よせ。弾を無駄にするな。』
舌打ちして背を向けるZephyr。

「2人とも、こっちへ。」
プラサド少佐が呼ぶ。
仲間たちの死体を見つめ、一瞬悔しそうな表情をしたが、少佐は毅然と顔を上げた。

「よく生き残ったわ。コロラド・スプリングスへ向かうためにはダムを越えなければならない。」
『少佐、この奇襲は一体・・・。』
「わからない。ともかく我々はコロラド・スプリングスへ行く必要がある。で、ダムの上に陣取る野郎どもを片付けたいと考えている。」
「・・・やるわ。」
「Zephyr、あんたはWraithと共に行動しなさい。私とアンタたちとで馬鹿どもを挟み込む。いいね。」
『Yes,Sir!』

アリゾナの命運は我々たちにかかっていることを忘れないように、と言い残してプラサド少佐は立ち去った。


Wraith と Zephyr はこんな感じ


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