Fallout NewVegas ; 決戦前

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ヒドゥンバレーから戻ってきたLuciaとラウル。
プレデンシャルスイートに向かうエレベータの扉が開くと、目の前でキャスとブーンが一触即発のムードを漂わせていた。

キャスが拳を振り上げたのに気づいたラウルが止めに入る。

「おいおい、どうしたんだ。」
「なんでもないわよ!」

ラウルに見向きもせず、キャスは手加減無しでブーンの腹に拳を撃ち込む。
暫く睨みあった後、ブーンは黙ったままLuciaを押しのけエレベータに乗り込んでいった。
「ボス、ブーンを頼む。」
ラウルが後を追うようにと、Luciaの背を押す。



ダイニングでは、キャスがイライラしながら歩き回っていた。
追いかけてきたラウルを見て不機嫌そうに腕組みをする。

「・・・謝らないわよ。」

ぶすっとしてキャスが呟く。
「あのなぁ・・・。」
ラウルが大きな溜息をついたのを聞くと、さすがにバツが悪くなったようだ。
Luciaを驚かせたのは悪いと思ってるけどと付け加えた。

ラウルがキャスの顔を見つめる。

「・・・あいつが。」
「ブーンが?」
「Luciaの過去を知ったみたいなんだけど。様子が変なのよ。」
ラウルは思わず眉根を寄せた。
ボスは、ブーンに言えないでいたことを悔やんでいて、ようやく過去について伝えようと決心したというのに。
戻ったら、皆に伝えようと考えていたのに。
一体誰が話したというのだろう。

ヒドゥンバレーへ行く道すがら、Luciaから聞いた話をキャスに聞かせた。

「俺は、ボスからキャスとアルケイドには話したと聞いている。」
「・・・アルケイドが、余計なことを言うとは思えないし。一体誰からきいたのかしら・・・。」
暫くキャスは考え込んできたが、そういえば、とアルケイドが不在なことに気が付いた。

「アルケイドはどうしたの?Luciaと一緒にでかけて・・・そういえば、あのこ一人で戻ってきたわよね。」

一瞬ラウルが口ごもる。
まさか怪我とかしたわけじゃないわよね?
畳みかける様に尋ねてくるキャスを躱し切れず、Luciaから聞いた話をキャスにも伝えた。

エンクレイブ士官の父親を持ち、ナヴァロがNCRに制圧されたのを機に母親と南部へ移動した過去を持つことを。
フーバーダムで繰り広げられるであろうNCRとリージョンとの戦いに、エンクレイブの残党が力を貸してくれるよう尽力してくれたこと。
最後の決戦に供えて、自身はオールドモルモンフォートに戻り医者として役目を果たそうとしていること。

「なるほどね。」
ラウルから全てを聞き終えると、キャスはぽつりと呟いた。

そんな話をしているところへ、資材調達に出ていたヴェロニカが戻ってきた。
「・・・2人ともどうしたの?」

ちょっとね、とキャスが話を濁す。
持ち返ってきた資材を片付けながらヴェロニカが、Luciaとブーンが話し込んでるのを見たよと2人に教える。
思わず顔を見合わせるキャスとラウル。

「で・・・どんな様子だった?」
「え?二人の様子?」
「そうそう。あいつ、Lucia泣かしたりしてなかった?」
「泣いたりはしてなかったけど、なんか・・・深刻そうな雰囲気はあったかも。声かけれなかったもの。」

あーあ、とキャスが溜息をつく。

ボス。頑張れ。
ラウルが心の中で、Luciaに声援を送る。
「・・・もし、ブーンが戻って来なかったら、俺たちがボスと一緒にフーバーダムへ行こう。」
「勿論よ。」
「あ、そうだ、ヴェロニカ。エルダー・マクナマラだっけ、お前んとこのボスがNCRに力を貸すと約束してくれたらしいぞ。」
「え?ええ??エルダーがそんなことを??」

ヒドゥンバレーを追われてから気落ちしているヴェロニカを心配していたラウルは、よかったなとヴェロニカの肩を叩いた。

ヴェロニカはとても嬉しそうだ。
あんなに排他的だったのに。
私のしたことが、少しは役に立ったのか。

「とにかく。Luciaがブーンと話し合って戻ってくるのを待つしかないわね。」
キャスの言葉にヴェロニカとラウルが頷いた。

いよいよ、決戦の時が近づいている。


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