外で待たせてあった馬に飛び乗ると、地図にちらりと視線を走らせる。
どのルートで戻るか。
平地は遠回りになる。ストームクローク兵に遭遇する可能性もあるだろう。
よし、と手綱を一振り。
馬の頭を山の方角へと向ける。
恐らく、通り抜ける獣道があるだろう。
この逞しい馬なら山道もいけると、確信めいた思いが胸を過る。
途中、オオカミに襲われたりもしたが、難なく山頂まで登り切る。
馬の背を軽く叩くと、嘶いて応えた。
故郷に置いてこざるを得なかった愛馬に思いを馳せる。
気の荒い、扱いにくい馬だったが、タフで戦場での動きも素晴らしい馬でもあった。
あいつは厩の隅で暴れているだろうか。
心を許した人物にしか触らせようとはせず、使用人からも恐れられていた。
これからどうするんだ、と言わんばかりに蹄で地面を蹴る音で我に返る。
山頂から遠くを眺める。
地図と見比べながらソリチュードの方角を確認。
今から山を降りても麓に着くのは夜になるだろう。
それならここで夜を明かすとしよう。
荷物の中から用意していた簡易テントを取り出し建てると、杭に馬を繋ぐ。
Luciusが用意した飼葉では量が足りなかったのか、近くの木の葉や枝なども食べだした。
逞しいもんだ。
馬の食事を見ながら、自身も火の用意をして夕食にと肉を焼く。
幸いなことに、吹雪くことなく夜を明かすことができた。
熾火を起こし雪を沸かして湯を飲むと、テントを片付けて再びソリチュードを目指す。
少し馬を走らせたところで、雪の中にきらりと光るものが見えた。
その瞬間。
飛び出してきた何かに驚いた馬が立ち上がり蹴飛ばす仕草をした。
咄嗟に馬から飛び降りると、襲撃者を迎え撃つために盾を構える。
Lucius:・・・
???:あんたの命が欲しい人がいるんでね。大人しく首を差し出しな!
襲撃者を片付けると、足で転がして顔を見る。
ストームクローク兵とも違う姿だ。
懐を漁ると、手紙が一通出てきた。内容に目を通し、思わず顔を顰める。
「黒き聖餐」だと?
こんな手の込んだことをするのはAlessandroに違いない。
長兄の、目の笑っていない、優雅な笑顔が思い浮かんだ。
狙われるばかりなのは、業腹だな。
あいつを、Alessandroを潰してやる。
どうやって?
こんなところで時間を無駄にしている暇はない。
馬の背に飛び乗り、山肌を駆け下りる。
ラビリンシアンでトロールを倒し
ハイヤルマーチのストームクローク野営地に乱入して殲滅したり
※指揮官クラスは倒すことができず。
ソリチュードのアーチが見えてきた。
尖った王冠を手にして、テュリウス将軍は次の一手をどう打つだろう。
正当性を示す遺物として、この王冠をどうする?
そんなことを考えながら、ソリチュードの重たい扉を押し開けた。
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