Fallout4~Institutionalized(後編)
「私が・・・貴方の息子だ。」
一瞬この男が何を言っているのか、理解ができなかった。
「・・・?お前が・・・ショーンだと言うのか?」
ファーザーは一瞬躊躇いを見せたが、どうしてこんなことになったのか説明させてもらうと、人造人間のショーンと俺を交互に見つめながら言った。
「2227年。インスティチュートは人造人間製造において大きな一歩を踏み出した。だが、まだ全く十分ではなかった。」
「そこで当時最高の手本を追いかけることにした。人間だ。歩き、話し、有機的に完全に統合された・・・なんでもできる存在。」
「そこで人間のDNAが必要となった。核の脅威に汚染されていない、純粋な人間のDNA。」
人間のDNA。
核に汚染されていない人間。
あのグレートウォーよりも前に生きていて・・・そうか、Vaultで冷凍されていた・・・。
「お前のような、汚染されていない生まれたての赤ん坊・・・。そして冷凍されていたから、グレイトウォーの影響もない。」
「そう、まさしく私は適役だったのだ。」
あの時の場面が蘇る。
ノーラを無慈悲に撃ち殺すケロッグ。それを止めることもしない白衣の人間たち。
「あんなやり方で、俺やノーラからお前を取り上げるなんて・・・。ノーラは・・・お前の母さんは」
「あなたにとっては、それが真実だろう。だがインスティチュートにとっては全て世界の理に叶ったことだったのだ。」
「どうして、そんな風に言える。母さんは、お前を愛していたんだ・・・とても。」
「それは疑ってはいない。だがインスティチュート内部で生きてきたため、そういった感情の経験がほとんどないのだ。」
無表情にそういうファーザー、ショーンを見つめる。
ノーラ、ノーラ。お前も大きくなったショーンを見たかったことだろう。
ちょっと想像していた大きさとは違っていたが、ちゃんと生きているよ・・・。
俺の悲しそうな顔に気づいたのか、是非ともインスティチュートの各部門のリーダーと知り合いになって欲しいとショーンが言い出した。
自分がどんなところで働いていて、連邦の人々のために技術を駆使しようとしているか知って欲しいと。
「設備部門のアリー・フィルモア、SRBでジャスティン・アヨ、バイオサイエンス部門でDr.クレイトン・ホルドレン、アドバンスシステム部門でDr.リーと話すといい。」
「わかった・・・。」
「全員に会ったら、その後これからの話をしよう。」
ショーンと別れて、インスティチュート内部を歩く。
確かに・・・清潔で明るくて・・・地上とは大違いだ。
それでも、コズワースやドッグミート・・・連邦で出会ったみんな。皆に会いたいよ。
俺はすっかり連邦に馴染んだという訳だなと自嘲気味に笑う。
アリー・フィルモア
ジャスティン・アヨ
ジャスティン・アヨ:お前は信用していない。余所者だからな
Dr.クレイトン・ホルドレン
バイオサイエンス部門と言えば、バージルが元いた部署か。
この近くに彼の研究室なんかがあるんだろうか・・・?血清を探さなければならないし、ちょっと探ってみよう。
鍵のかかったドアがある。そっと中に入ってみると・・・中は真っ暗だ。
今までの清潔で明るい建物とは様子が違う。
遠くでセキュリティロボットが徘徊している音が聞こえてくる。
先に進むと、スーパーミュータントの死体や人造人間の死体が転がっている。
一体どういうことなんだ・・・?何かが起こって、閉鎖されたのか?
これは、スーパーミュータントか。培養液に入っているように見える。なんだ。何が行われていたんだ?
バージルの探している血清は机の上で見つけた。
忘れずに持って帰ろう。
よし、目的の物は探し出したから・・・あとはD.リーか。アドバンスシステム部門へ向かうとしよう。
Dr.リー
俺が声をかけると、Dr.リーはちょっと迷惑そうに作業を中断した。
「ああ、貴方が誰かは知っているわ。ファーザーはさぞかし喜んでいるでしょうね。」
「仕事の邪魔をして済まない。」
硬い表情でDr.リーは人と気安く話をするのが苦手だと言った。親しみやすい態度でないことは自覚しているようだ。
これでリーダー全てに会ったな。
ファーザー、ショーンのところに戻るとしよう。