Fallout NewVegas ; Return to Sender(2)
レンジャーステーション アルファ・デルタ・フォックストロットに報告の真偽を確認しに向かう。
まずはレンジャーステーション アルファだ。
レンジャー・ラインホルムにレイエス2等軍曹に言われて来たこと。人的損害が出たと言う報告は本当なのか疑問に思っていることを告げると、きょとんとした顔をしてLuciaを見つめる。
「いったい・・・なんの話をしているわけ?」
『レイエス2等軍曹はここから多数の死傷者が出たと報告を受けたと言っていたわ。』
「多数の死傷者?足首を折ったのが1人いたけど、誰も死んでない。」
「・・・どういうことだ。」
ラインホルムは私に言われてもね、と肩を竦める。
「この辺はレンジャーの駐屯地が他にもあるから、混線したんじゃないかしらね。」
『混線?それにしても・・・』
「負傷者や疾病患者、死亡者の数はキャンプ・ゴルフの司令部に送られる。レイエスは聞き間違いでもしたんじゃない?」
これで話は終わりだと言わんばかりに、ラインホルムは言葉を切る。
なんとも納得できない結果となったが、多数の死傷者が出た訳ではないのだから・・・よしとするか。
同じようにレンジャーステーション デルタでも・・・
「リージョンのスーパーミュータント?やつらがそんなもの持ってる訳ないだろう。」
『でも・・・レイエス2等軍曹は報告を受けたって』
「悪い冗談でも聞いたんじゃないか?」
レンジャーステーション フォックストロット
「訓練されたデスクロー?」
『えーと、レイエス2等軍曹が・・・』
「そんなのいるなら会ってみたいわね。キャンプ・ゴルフに報告は送ったけど、そんな内容じゃないわよ。」
「・・・またキャンプ・ゴルフか。」
ブーンと顔を見合わせる。
レンジャー・カドローに礼を言い、フォックストロットを後にした。
キャンプ・フォーロン・ホープに戻り、レイエス2等軍曹へ報告をする。
やっぱりね、とレイエス2等軍曹は呟いた。
キャンプ・ゴルフにいるチーフ・ハンロンが嘘の報告書にサインしていたことを確認したというのだ。
でも何故・・・?
「チーフ・ハンロンに何故こんなことをしたのか確かめてきて欲しい。でも・・・事を公にしないで。」
『どうして?自軍に混乱を招く行為じゃないの?』
「確かに、そうなんだけど・・・。意味もなくこんなことをしたとは思えない。」
ブーンを見ると、小さく頷いている。
『わかった。チーフ・ハンロンに会ってくる。』
キャンプ・ゴルフへ向かう途中、ブーンにチーフ・ハンロンの人となりを聞いてみた。
NCRレンジャーの指揮を執る人物で、フーバーダムを巡る戦いでリージョンたちをボルダーシティへと誘い込み撃退したという。
「・・・英雄と言っても過言ではない。」
『そんな凄い人がなんでだろう。』
チーフ・ハンロンは湖を眺めながら、寛いでいるところだった。
Luciaが声をかけると、じっと見つめ、後ろにいるブーンにも視線を投げかける。
「君が噂の運び屋だね。グッドスプリングスで何者かに陥れられたって無線で聞いているよ。」
『わ・・・そんな話まで・・・。あ、そうです。私、Luciaです。』
チーフ・ハンロンは色々なことを話してくれた。
フーバーダムで起こった大きな戦い。ジョシュア・グラハムという恐ろしい男の話。
元NCR出身で、アポカリプスの使徒だったのいうのだ。
そしてネルソンやサーチライトといったキャンプの話。
遠く離れた場所にいて高みの見物をしているNCRの上院の話。
彼らの利益を守る為に、重歩兵やパワーアーマー部隊は後方に戻されたらしい。
古参の兵士であり、情報を管理している立場にあるだけに話題が豊富だ。
『お話・・・とても興味深いんだけど、私レイエス2等軍曹に言われて来たの。』
チーフ・ハンロンの目が一瞬険しくなったように思えた。
チーフ・ハンロンは場所を変えようと言って、立ち上がった。
ドアを閉め、2人が勧められた椅子に座るのを見届けて、ようやくチーフ・ハンロンは話始めた。
「我々の仕事は、銃をぶっ放したりウィスキーをがぶ飲みしたりするだけじゃなく、情報の選別や制御も行っている。」
『でも、捏造することが仕事じゃないでしょう?』
「誤導が我々を救ってきたんだ。フーバーダムでの勝利も誤導があったからこそだ。」
チーフ・ハンロンが深く溜息をつく。
「打倒された時、数で負けている時、助けを求めても誰も来てくれないような時、誤導で血路を開いてきた。」
「ここで、我々が迫りくるリージョン兵どもと戦っている時に、故郷にいる連中たちは何をしていると思う?自分たちの利益を守ることができれば、それでいいのさ。」
ブーンの眉間の皺がぐっと深くなる。
フーバーダムを守り抜けたとして、その後どうなるんだ?殺されるとわかっているのに、何十年と人を送り込み続けるのか?
更にMojave全域をパトロールしろ?ダムを維持するだけで必死なのに、死ねというのか。
『つまり・・・Mojaveで起こっていることを、大きく故郷に伝えるための・・・』
チーフ・ハンロンはLuciaを見つめたが、頷くことも首を横に振ることもしなかった。
話はリー・オリバー将軍のことにも及んだ。
あいつは私のいうことを聞かずに、ダムの東側に基地を展開しやがった。あんな場所を守るだけの火力はないというのに。
一息つくと、チーフ・ハンロンはLuciaに尋ねた。
「さて、君はどうする?」
ブーンをちらりと盗み見たが、何か深く考えているのか目を瞑ったままだ。
チーフ・ハンロンを突き出すことはできるだろう。
でも、彼を失ったら・・・レンジャー部隊は責務を果たすことができるのだろうか。
彼が操作した情報も、誰かを傷つけるものではなかったとLuciaは考える。
レイエス2等軍曹には公にして欲しくないとも言われたしな。
『私はただ、英雄のお話を聞きに来たの。それだけよ。』
チーフ・ハンロンは、にっこりと笑ってLuciaと握手をする。
「また話が聞きたくなったら、遊びに来ると良い。」
クエスト:Return to Sender 完了