ボイド少佐がタバコの火をつけながら、リージョン兵を見下ろす。
2人の皮肉の応酬を、ぼんやりした目で見つめるLucia。
「Lucia。」
『・・・。』
アルケイドが、Luciaの腕を強い力で掴む。
「Lucia。お前、大丈夫か?無理してNCRに協力することはないんだぞ。」
心配とNCRへの憤りが入り混じった表情で話しかけるアルケイドに、大丈夫と小声で答える。
気が付けば、ボイドが中に入るように手招きしているのが見えた。
思わず手が震える。
大丈夫。あいつは、私のことなんか知らない。知らない。知らない。
心配しないでとアルケイドに微笑んで見せる。
部屋の中に入る際に、武器をボイド少佐に渡す様に言われた。
Luciaの手が震えていることに気づいたのか、ボイド少佐は少し皮肉な顔をして慣れたら楽しくなるぞと呟いた。
Luciaの姿を見るとリージョン兵サイラスは、小馬鹿にしたように鼻で嗤い、足元に唾を吐き捨てた。
「こんな小娘に俺の尋問をさせるなんて、あの女も手詰まりという事か。どんな山盛りのクソから引っ張り上げられたんだ?ああ?」
『クソなのはアンタも同じようなものでしょ』
予想以上の言葉が飛び出してきて、自分でも驚くLucia。
しかし気取られてはいけない。
あんたなんか怖くない。
※Speechで全て片付けることも、おっと手が滑った!でやってしまうことも可能。ただ手が滑る場合は、ブーンの個人クエポイントに加点されるので、ブーンがいる場合のほうがよいかと。
Luciaとの会話でイライラし始めたサイラス。
追い打ちをかけるように、ボイド少佐も参戦してきた。
「お前の腸をこの部屋にぶちまけてやる!」
「あらあら、負け犬がキャンキャンと良く吠えるわね。サイラス、あなたはただお話していればいいのよ。」
『こんな臆病者がリージョンでどうやって地位を得たのか知りたいものね。』
ボイド少佐とLucia2人を相手にして頭に血が上ってきたのか、サイラスが誘導され始めた。
そういえば、サイラスはスパイについて何か知っているのだろうか。
持ってるナイフは自決用に取っておくことね、と水を向けるとサイラスは忌々しげにLuciaを睨みつける。
誇大妄想の自称独裁者の為に、自分の喉を切り裂くつもりはないとサイラスが吐き捨てた。
思わず、ボイドの方に視線を向けようとしたが、冷静な表情を保ちサイラスの暴露に耳を傾ける。
シーザーはテントに籠り切りだ。
頭痛のために統率力を失っている。
そんな男に命を懸けるか?
それで?という表情を作り、サイラスを見つめる。
シーザーはNCRの兵士の配置をスパイに報告させているらしい。
しかし、そのスパイはサイラスを手助けはしてくれない。
『そのスパイって誰なわけ?あんたを見殺しにするとは、いい仲間ね』
「知らん。そいつは深夜に無線で報告をしているらしい。」
『そう。で、どう?リージョンの秘密を洩らした気分は?』
サイラスは呪詛の言葉と共に、足元に唾を吐きだした。
振り返らずに部屋を出る。
ボイド少佐が、よくやったわと声をかけてきた。
尋問が上首尾に終わり機嫌がよくなったボイド少佐は、Luciaに何でも聞くといいと請け負った。
「兵士たちの無断外泊や押し入り、盗み、そのほかありとあらゆることを知ってるよ。」
『押し入り?NCRの基地に押し入る人がいるの?』
「あー、言い方が悪かったわね。管制塔に誰かが勝手に忍び込んでいるようなのよ。」
少し離れた場所で待機していたアルケイドも近寄ってきて話に加わった。
「忍び込む?管制塔に?」
「基地の誰かがデートにでも使っているんでしょ。まったく。」
ただし、とボイド少佐が付け加える。
管制塔に入るためにはアクセスコードが必要なのだが、一兵卒はアクセスコードを知り得ないはず。
アクセスコードを知っている誰かが忍び込んでいるということになると。
確認するためにアクセスコードを教えて貰う。
クエスト:The Silent Treatment 完了
ボイド少佐に礼を言い部屋を出ると、腰が砕けたようになり力が入らなくなった。
へなへなと座り込みそうになるLuciaの腕を掴み立たせてやると、アルケイドは近くにあった椅子を持ってきてくれた。
「大丈夫か?」
『あ、ありがとう。せんせい。』
アルケイドがポケットからハンカチを取り出しLuciaに手渡す。
ほっとしたためか、涙が零れ落ちていた。
優しく頭を撫でられると、ますます溢れてくる。
Luciaが落ち着くまで、アルケイドは黙って傍に座っていてくれた。