しんしんと降りしきる雪の中、ilexは石橋を渡りウィンターホールドへと一直線に進む。
リディアやエリクは武器に手をかけ、いつでも応戦できるように身構えている。
マーキュリオはというと、初めて入った魔法大学に興味津々のようで、あちこち眺めながら3人の後に続く。
入り口付近で何やら揉めている二人が見えたが、そのまま無視して大学の中へと入る。
入ってすぐの場所では魔法の授業が行われているようで教師と生徒らしき人物たちの声が響いていた。
リディア:従士様、どこを探しますか?
ilex:そうね・・・星霜の書、というくらいだから書物がある場所とかかしらね
エリク:ここにあるの?
マーキュリオ:まさか、ここにはないだろう
リディア:魔法絡みで、どなたかご存じかもしれませんね
そんな話をしながら階段を上がると、本棚が所狭しと並び、机の上にも山積みにされた場所へと出た。
マーキュリオの目が輝く。
カウンターで本の整理をしているオークが見えた。
声をかけると、じろじろと4人を眺め、ここの生徒ではなさそうだなと呟いた。
ウラッグ・グロ・シューブ:なんだ、お前たちは。勝手にそこらの本を触るんじゃない
ilex:ここは?
ウラッグ・グロ・シューブ:ウィンターホールド大学の図書館だ。大切な蔵書が沢山ある。
リディア:星霜の書、というものをご存じですか?
星霜の書という単語を耳にした途端、ウラッグ・グロ・シューブがじろりとリディアやilexを睨みつけた。
手に入れてどうするつもりだ。自分が何をしているのかわかっているのか、誰かのつかいっぱしりか?と矢継ぎ早に質問を繰りだしてくる。
ilexが、グレイビアードに、ここにくれば何か情報があるかもしれないと言われてきたと説明するとウラッグ・グロ・シューブは暫し考え込む。
ウラッグ・グロ・シューブ:グレイビアードだと?ちょっと待て、もしかしてお前
ilex:あー・・・そう。ドラゴンボーンとか言われてるわね
ウラッグ・グロ・シューブ:なるほど。そうなら少し話が変わる。星霜の書・・・か
エリク:何か知ってるの?
ウラッグ・グロ・シューブ:星霜の書とは、計り知れない知識と権力の道具だ
星霜の書を読むためには、特別に訓練された精神が必要となると言う。
熱心に研究を行った結果、おかしくなってしまったものもいると。
書物の研究を行ったことで精神が病む、読むためには特別な訓練が必要。
ilexが黙っているのを見て、ウラッグ・グロ・シューブは棚から2冊の本を取り出し目の前に置いた。
星霜の書の効果について
星霜の書の考察
差し出された本のページを捲り、中身を読む。
読むが、書いている内容が頭に入ってこない。特に「考察」は言わんとしていることが掴めない。
ilex:えーと・・・。こっちの本は、何を言っているのかさっぱり・・・
ウラッグ・グロ・シューブ:ああ、セプティマス・シグナスの書だな。
マーキュリオ:これが考察・・・?
ウラッグ・グロ・シューブ:そいつが、星霜の書の研究を続けていて、おかしくなってしまった奴だ。一番詳しい人物でもあるがな
リディア:その方は、どこにいらっしゃるのですか?
ウラッグ・グロ・シューブは深いため息と共に、セプティマス・シグナスは大学から遥か北の地でひっそりと暮らしていると噂を聞いたと教えてくれた。
大学を後にして、北の方角に視線を向ける。
寒々とした海と、海面に浮かぶ氷の塊が見えた。
これ以上寒い場所を進まなければならないのかと考えただけで、ilexは嫌になってきた。
ilex:なんだって、そんなところで暮らしているのよ
エリク:まぁまぁ
リディア:従士様、足元に気を付けてくださいね
マーキュリオ:どこかの洞窟にでもいるんだろうな
ilex:とっとと探し出してやる
振り返ると、遠くにウィンターホールド大学が見えた。
兎に角寒い。
早くセプティマスを探し出して話を聞きださなければ。
ホーカーや白熊、狼たちを倒しながら進む。
ホーカーたちは然程問題ではない。
流氷の上を渡っていかなければならないことが、ilexにとっては大きな問題だった。
ilexが寒がって先に進むのを渋ると、マーキュリオが小さな炎を出し体を暖めてやったりしながら何とか進んで行く。
ilex:・・・絶対許さない
リディア:じゅ、従士様。落ち着いて
エリク:あ!!灯りがついてる!あそこ洞窟の入り口じゃない?