グッドネイバーのメモリーデンにやってきた。
「さて、Dr.アマリはいるかな」
「ちょっと待ってくれ。まずはイルマに挨拶しなくてはな」
「イルマ?」
「彼女は・・・そうだな、ここの女主人。過去の記憶を追体験できる場所だ」
「夢を見るってことか?」
「・・・まぁ、行けばわかる」
イルマに挨拶をして、Dr.アマリがいる地下へと急ぐ。
「ドクター!」
「あら、Mr.バレンタイン。血相変えて、どうしたの?」
「ちょっと面倒なことをお願いしたくてね」
ニックが色々と説明してくれる。
俺も、藁をもすがる気持ちでDr.アマリにケロッグの記憶を辿りたいと訴える。
「助けて欲しいんだ、ドクター。ケロッグという男の記憶を・・・どうしても辿らなければならないんだ」
「あらあら。で、そのケロッグとやらはどこにいるのかしら?」
ニックと俺は顔を見合わせる。
「そいつは・・・もう死んでこの世にはいない。」
「Mr.バレンタイン、言ってる意味がわからないわ?死んだ男の記憶をどうやって辿るっていうの?」
当然の反応だろう。
死んだ男の記憶を探りたいなんて、今まで言い出した奴はいないだろうな。
そこで俺はケロッグから入手したサイバネティック・ブレイン・オーグメンターをDr.アマリに手渡した。
「これは何?脳じゃない!これは・・・これは海馬だわ!」
「ケロッグから、これが出てきたんだ」
Dr.アマリは色々な方面からケロッグの脳(サイバネティック・ブレイン・オーグメンター)を眺めている。
ニックが助け舟を出してくれた。
「この死んだ脳にはインスティチュートの知識が詰まっているんだ」
「インスティチュート!どうりで!」
「でも・・・」
Dr.アマリの表情が曇る。
「どうした、ドクター?」
「この海馬があっても、このままでは使えないわ。何か・・・依り代となるものが必要ね」
「・・・じゃあ、俺を使えばいい」
「ニック!?」
「俺はプロトタイプとはいえ、インスティチュートの技術で作られた人造人間だ。俺に移植するのが最適だろう」
「善は急げね。さ、Mr.バレンタイン。こっちに座って」
「感謝するよ、ニック」
「礼は全てが終わってからだ」
Dr.アマリが指示した椅子に座り大人しく施術を受けるニック。
大丈夫なんだろうか・・・。
「ドクター。どうもおかしいぞ。チカチカして・・・動かなくなった。いったいどういうことなんだ」
「・・・。移植された脳にロックがかかっているわ。」
「ニックは・・・大丈夫か?」
「Mr.バレンタインだけでは、耐えきれないわね。記憶の暗号化が一つの脳には強すぎる。でも、二つの心なら・・・」
「わかった。俺は何をすればいい」
「メモリーラウンジに座ってくれるかしら。準備をするわ」
近くに会ったメモリーラウンジと呼ばれる椅子に座り込んだ。
「さぁ、始めるわよ」