ハイウェイからクインシーの街並みを見下ろしながら、ここであったことについてぽつりぽつりとプレストンが語る話にじっと耳を傾けていた。
先ほど俺が始末したクリントはミニッツメンに古くから参加していた古参だったようだ。
「何故裏切ったのかわからないと言ったが、そうなってしまっても仕方がない反面もあってな。」
「どういうことだ?」
「組織が拡大するにつれて、内輪もめも多くなって。そういうこともクリントが組織を見限った一因かもしれん。」
「そうか・・・。」
「さぁ、休むとしよう。」
翌朝。
日が昇り出した頃から動き出す。
街中の様子を少し見ておきたいとプレストンに伝えると、少し嬉しそうにして頷いた。
スタージェスが工房として使っていたと言う教会に戻る。
ターミナルを覗くと、ママ・マーフィが”サイト”で襲撃を予知していたことが書き込まれていた。
そこでミニッツメンに助けを求めたらしい。
読み進めて行くと、ベイカーがターミナルへ書き込みをしていた。
内容を読んで思わず舌打ちをすると、プレストンが後ろから覗き込んできた。
「ベイカーを始末できて、よかったよ」
「ああ、本当に。」
教会を出て、街中を見て回る。
ここはロング夫妻の店だとプレストンが教えてくれた。
そうか、ここが。
そういえば、ジュンは息子を逃避行の途中で失ったと言っていたな。
ママ・マーフィのサイト、ミニッツメンが初戦でガンナー達を退けた話、パトロールするミニッツメンの後ろをついて回る息子のカイルの話、カイルが怪我をした話・・・。
コンコードでの出会いやサンクチュアリで交わした会話を思い出す。
ジュンはとても疲れ果てて悲しそうな顔をしていた。
「よく脱出することができたな。」
「・・・そうだな。俺たちが逃げ出すための血路を開いてくれた仲間たちがいたからこそ、命を繋ぐことができた。」
そして、裏切り者とはいえ元ミニッツメンであったクリントが見逃してくれたからか。
ここから向かった先はジャマイカ・プレイン。
今になって思えば、何故あの場所を選んだのだろうと思うよ、とプレストンが呟いた。
クインシーから湿地を抜けて、戦闘を避けながら進むのは大変だっただろう。
市民を守りながらの逃避行は。
「何か、もっとできたんじゃないかと、今でも思うんだ。」
「プレストン・・・。」