ダウンタウンの東にあるオールドタウンへとやってきた。
ここは、あまり治安がよくないようだ。訳の分からないことをぶつぶつと呟くヤク中たちがうろうろしている。
とっととHaroldとやらに話を聞いてしまおう。
まずはHaroldに幾ばくかのゴールドを渡して口の滑りをよくしてやる。
Vesper「はじめまして。デスクローについて、貴方に話を聞くようにと。」
Harold「デスクロー?大きななりをしているが、動きは素早い。鍵爪であっという間に引き裂てしまうんじゃ。」
Ian「なんか弱点とかないのか?」
Harold「聞いた話だと頭部にガツンと決めてやれってことじゃ。目とかな。」
Tycho「急所を狙って戦うしかないのか。」
うーん。なかなかの強敵だな。
Ian「じーさん、あんたなんでそんな姿になったんだ?元からミュータントか?」
Harold「昔、商人でな。キャラバンを襲撃するミュータントどもに悩まされていたんじゃ。」
Tycho「ほう。」
Harold「わしらは古い軍事基地らしき場所が怪しいと睨んで探索に出た。」
Vesper「軍事基地?」
Haroldはごほごほと咳をして一息つく。
医者のRichard Greyらと共に軍事基地へ侵入して、ミュータントどもで溢れているのを発見したらしい。
Richard Greyは何か液体の入ったタンクに落ちてしまい、這う這うの体で逃れてきたHaroldはこんな姿になっちまったってことか。その基地が怪しいな。
Vepser「話をしてくれてありがとうございます。まずはデスクローを倒しに行きます。」
Harold「気を付けるんじゃぞ。」
Haroldの家を出ると、空を見上げてぶつぶつと呟いている男が目の前にいた。
もしかしてSlappyか?
お~う、すげぇ、すげ~え。なんで月が?
話が通じているのかいないのか、よくわからなかったがデスクローの元へ連れて行ってくれるように頼むと・・・。
洞窟に来た。
暗がりの中、よく見るとデカイ卵の殻が落ちている。デスクローは卵から孵るのか?こんなに殻が落ちているなんて、まさか山ほどいるんじゃねぇだろうな。
目が慣れてきた頃、もそりと動く大きな影が見えた。あれか?
Ian「でけぇな。」
Tycho「よく見ろ、アイツの足元に何かが転がっている。」
Vesper「キャラバン隊か?・・・違うな。ミュータント?」
じゃり、と土を踏む音に気づいたデスクローが猛然とこちらに向かってやってくる。
俺は一歩引いて距離を取りながら、V.A.T.S(Vault-tec Assisted Targetig System)で頭や目を狙う。
Dogmeatが果敢にデスクローに挑んでいくのを見た時は慌てた。
Vesper「Dogmeat!!やめろ、お前は後ろにいろ!!」
Dogmeat「きゃいん!!」
Tychoがステイムパックを自分に使ったのが見えた。あいつ怪我したのか?くそっ。
俺が放った銃弾が目を撃ち抜き、デスクローの巨体がどさりと地に沈んだ。
IanもTychoも肩で息をして、しばらく無言だった。
Vesper「なんなんだよ、こいつは!」
Ian「デスクローだよ。Haroldが言ってたろ?」
Tychoにステイムパックを渡し、Dogmeatの怪我を調べる。
Vesper「ほら、あんた使い切っただろ。」
Ian「えー?おれはーー?」
Vesper「てめぇは1個も使ってねぇだろうが。」
Tycho「あの戦いの中でよく気づいたな。ありがとう。」
Vesper「おい、お前はあまり前に出るな。」Dogmeatの頭をわしわし掻いてやると嬉しそうに鼻を鳴らした。
IanとTychoがにやにやと俺を見る。なんだよ。
死にかけているミュータントに近づく。
息も絶え絶えに血まみれのホロディスクを渡してきた。
今際の際に言った「最高の素体を探していた」「マスター」という単語が気にかかったが、問い返す間もなくミュータントは事切れてしまった。
ミュータントが他に何か持っていないか探してみたが、無線通信機を持っているだけだった。とりあえず貰っておくことにしよう。
Tycho「ホロディスク?」
Vesper「・・・見てみるか。」
Pip-Boyにセットして、ミュータントの通信記録を見てみる。
Ian「つまり、ミュータントどもがキャラバンを襲っていたってことか?」
Tycho「どうやらそのようだ。しかも組織化されたミュータントだ。」
Vesper「計画的に襲っているようだな。中尉とかマスターとか・・・軍隊か?」
よし、この情報を持ってButchの元へ戻るとしよう。
キャラバン隊を襲っていたのはミュータントだったと言うと、Butchは俄かには信じられないといった表情をした。
Butch「デスクローはどうなった?」
Vesper「行った、いた、殺した。」
Butch「ミュータント・・・。そのミュータントはどこから来たというんだ?」
Ian「まだ正確な場所はわかんないよ。山中に前哨基地があるっぽいけど。」
Butch「なんということだ・・・。評議会に伝えなければ。出て行くんだ、やるべきことができた。」
青い顔をしてButchが黙り込んでしまったので、俺たちは部屋を後にした。
Rutgerにも同じ説明をする。
やはり最初は信じていないようだったが、ミュータントから押し付けられた血まみれのホロディスクを渡すと納得してくれた。
報酬も貰ったし、腹が減ったからみんなで飯でも食うとするか。