
姿を現したパーサーナックスを、ぽかんと見つめる一行。
ilex:え?え?
リディア:あなたが・・・
マーキュリオ:グレイビアードの・・・?
パーサーナックスが低く喉を鳴らした。
それは肯定の返事なのだろうか。
ilexが続けて質問をしようとすると、パーサーナックスは古くからの伝統に則って年長者からまず挨拶をと言う。
そして一息言葉の壁に向かって吹き付けて、壁の前に行くようにとilexを促す。
言葉の壁に近づくと、力が流れ込んでくる。
思わずため息をつくと、パーサーナックスが満足そうに頷き、自分に向かってシャウトしろと言い出した。
それが・・・挨拶ってことかしら?
言われるがままに、パーサーナックスへ向かってシャウトする。
「Yol」「Toor」!!
ilexから返事としてシャウトを受けるパーサーバックス。
パーサーナックス:ああ、いいスゥームだ。さて、年寄りとティンヴァークするためにここに来たのではあるまい
ilex:ティンヴァーク?
パーサーナックス:アルドゥインに対抗する武器を探しに来たんだろう
エリク:なんでわかるの??
パーサーナックス:ドヴァーキンとアルドゥインが同じタイミングで姿を現したのだ。他になにがある?
ilex:じゃあ、ドラゴンレンドのこと教えてくれるの?
パーサーナックスが鼻から吐き出した息が、思った以上に強い風となって4人に当たる。
ドラゴンレンドのシャウトのことは、パーサーナックスでもわからないという。
わからない?わからないとはどういうことなのか。
そう思ってパーサーナックスに詰め寄ろうとした時、ふいに何故ドラゴンレンドを学びたいのかとパーサーナックスに問われた。
何故ドラゴンレンドを学びたいのかという問いは、何故アルドゥインを倒したいのかに通じる。
アルドゥインを倒したい理由。
後ろでパーサーナックスとの対話に耳を傾けるリディアやエリク、マーキュリオに思いを馳せる。
そしてウィンドヘルムで懸命に働く仲間たち。
ホワイトランで暮らす人々。そのほか沢山の出会った人たち。
ilex:・・・そうね。この世界に滅んでほしくないのよ。
パーサーナックス:プルザー。他に劣らぬ良い答えだ。全ての物事が終焉を迎えないと、次が生まれない・・・と考えるものもいる。
ilex:新しい世界が思っていた通りになるなんて、そんなこと誰にもわからないわ
パーサーナックス:パーズ。良い答えだ。
再び満足そうに喉を鳴らすと、パーサーナックスは古代ノルドがこの場所でアルドゥインに戦いを挑み、そのためにこの場所では時が砕け散ったと説明する。
時が砕け散るとはどういうことなのか。
怪訝そうな顔をするilexに、パーサーナックスは声の達人たちが星霜の書を使って、アルドゥインが時の流れを彷徨うように仕向けたのだという。
ますます訳がわからない。
兎に角、どこかにある星霜の書を探し出して、この場所へ持ってくることが先決のようだ。
それからどうするんだろう。
さっきの話からすると、声の達人たちはシャウトと星霜の書を駆使してアルドゥインを・・・時の流れに彷徨うように仕向けた?
古代のノルドに会って、ドラゴンレンドを教えてもらうってこと?
ilex:どこに行けば星霜の書が見つかるのかしら
パーサーナックス:己の血を信じるのだ、ドヴァーキンよ
リディア:グレイビアードならご存じかもしれませんね
マーキュリオ:・・・もしくは、ブレイズか
エリク:あー、エズバーンさんなら知ってるかもしれないね
ilex:うーん・・・
気が付けば、辺りはすっかり暗くなっていた。
この暗闇の中を下山するのは得策ではないだろう。
火を熾して一休みすることにしよう。
パーサーナックスから聞いた話もまとめたい。
エリクとリディアでテントを建てて、マーキュリオが魔法で火を熾す。
小さな鍋を持っていたので、雪を使ってお湯を沸かし、夕食にするとしよう。
パーサーナックスは言葉の壁の上に止まり、4人が喧々諤々と話し込むのを物珍しそうに見つめていた。