Fallout4 Sub libertate quietem(3)
プレストンは懐かしそうな、悲しそうな目でクインシーの街を眺めている。
「それで、どうするつもりなんだ?」
「そうだな・・・あんたと一緒にクインシーを見たかったんだ。それに・・・」
「それに?」
一瞬口ごもると、ふと顔を背けた。
入り口すぐのところにある教会を指さして、ここはスタージェスが工房として使っていたんだと教えてくれる。
俺たちの話声をききつけたガンナーが動き出した。
「プレストン。全部片づけるぞ。」
「もちろんだ、将軍。」
銃声を合図にして、離れた場所にいるガンナー達が騒ぎ出すのが聞こえてくる。
教会の屋根を歩き回る音がする。
上から攻撃されたら面倒だ。まずは上にいる奴らを片付けよう。
屋根へ出る階段を上がろうとしたところで、ひとりのガンナーと鉢合わせた。
プレストンが、あっと言ったのとほぼ同時に俺はそいつを撃ち殺していた。
駆け寄り死体を調べている後姿を見て、心臓を握りつぶされたような気持になった。
俺は、プレストンの知り合いを殺してしまったのか・・・。
「将軍。」
振り返ったプレストンは満面の笑顔だった。
「・・・?」
「間違いない。ベイカーだ。」
「誰だ?」
「こいつには・・・沢山の市民が殺された。本当に。」
知り合いを誤って殺したのではなかったようだ。思わずほっと吐息をついた。
よし。一掃してしまおう。
屋根の上からガンナー達を仕留めていると、足元に銃弾が撃ち込まれた。
辺りを見回しても、それらしき影が見えない。
プレストンは気づかずに、階下のタレットを片付けている。
どこにいる?
耳を澄まして探していると遠くで発砲する音は聞こえた。
半壊したハイウェイからこちらに向かって銃を構えるパワーアーマーが見えた。
あいつか。
互いに何発か応戦になる。
グシャ、と音がしてパワーアーマーが沈んだのが見えた。
「将軍!?大丈夫か?」
「ハイウェイから撃ちこんできてたやつを倒した。そっちはどうだ?」
「路地や家の中に隠れていた奴らは大体片付けたと思う。」
「ハイウェイにも潜んでいるかもしれんな。様子を見ておこう。」
屋根と屋根を繋ぐ渡しを通ってハイウェイへ。
町全体が屋根でつながっているようだ。
ガンナー達がつくったんだろうか?
街並みを眺める俺にプレストンが声をかけてきた。
「これは、ホリス大佐がスタージェスに命じてやったんだ。」
「ホリス大佐?」
「ああ、彼は・・・昔気質の人でな。ミニッツメンそのものだったよ。」
「そうか・・・。大佐はどうなったんだ?」
「クインシーの虐殺の中で戦死したよ。」
さっき倒したパワーアーマーのところへやってきた。
転げたヘルメットから覗く顔を見て、プレストンが眉根を寄せた。
元ミニッツメンで、孤立する彼らを見限りガンナーに寝返ったクリントだという。
何故、あの場面で裏切ったんだ、と足元に倒れるクリントに向かって呟いた。
じっと動かずにいるプレストンを残し、周囲を探る。
コンピューターに何か残されていないかと、起動してみると、ログが見つかった。
どうやらクリントが使っていたもののようだ。
ホリス大佐やプレストンのことが書かれている。
怪我をした女子供と共に反撃してくることはないだろうと、プレストンを評している。
キャプテン・ウェスという名前も書かれているが、これは誰なんだろう。
さっき殺したベイカーと話し込んでいるところをみると、ガンナーのボスか?
「将軍、今日はもう遅い。そろそろ休もう。」
「そうだな。その辺りにあるベッドを借りて寝るとするか。」
途中で立ち寄ったバンカーヒルで購入した食料と水をバックパックから出す。
ガンナー達が使っていたであろう焚火の周りに腰を下ろし、俺とプレストンは軽い食事を取ることにした。