Fallout4 Sub libertate quietem(2)

Fallout4 Sub libertate quietem(2)

長旅というが、いったいどこへ行くと言うのだろうか。
プレストンに行先を尋ねてもはぐらかすだけだった。

「スタージェスには言ってあるのか?」
「ああ、それなら心配はいらない。新人を連れて居住地を廻ると話してあるから。」
そう言うと、また俺を見てにこにこと笑う。

「あんたが傍にいてくれて、私は幸せだよ。」

臆面もなく、そう言うプレストン。
俺の表情を見て、困らせるつもりじゃないんだと呟く。

そろそろ出るか、とソファから立ち上がるプレストンに続いてタフィントン・ボートハウスを後にした。



バンカーヒルに立ち寄り、食料と水分を補給する。
店主とのやりとりはプレストンに任せて、俺は帽子を目深に被り出来る限り目立たないようにしていた。

手渡された食料をバックパックに仕舞い込みながら、まだ南下するのかプレストンに尋ねる。
「グッドネイバーにでも行くのか?」
「あんなところには行かん。もっと・・・南だ。」
「ああ、キャッスルか?」
「もっと、もっと先だな。」

マーケットを占拠しているスーパーミュータントを倒しながら、どこまで行くつもりなんだろう。
ちらりとプレストンを見るが、にこりと笑うだけだ。

現時点では聞いても答えてくれそうにないし、俺がいない間どうしていたのか聞いてみるか。

「俺が連邦を彷徨ったり、ヌカワールドに行ったりしていた間はどうしていたんだ?」
「あー・・ああ。色々あったよ。シンスの残りやレイダーはまだまだいるからな。」
「他の皆には会ったりしていたのか?」
「パイパーがたまに遊びに来たり、ディーコンがいつの間にか家の中にいたりしたな。」

ああ、目に浮かぶな。元気そうでなによりだ。

南ボストン軍検閲所を通り過ぎると、遠くにジャマイカプレインにある教会が見えてきた。


プレストン:沢山の人が宝の山を探しにここに来たが、戻ってきた人はいるんだろうか

「ジャマイカプレインに用があるのか?」
プレストンは微笑んだまま、首を横に振る。

相変わらずフェラル達が巣食っているのを片付け、ハイドパークにいるレイダーに気づかれないように先へ進む。

こっちだ、と東の方を指さす。
採石場のようなものが見えてきた。あれは・・・?

「クインシー採石所だ。」
遠くを見つめたままプレストンが呟く。

「クインシー・・・?」とプレストンに尋ねようとした時、帽子を銃弾が掠めて行った。
ここもレイダーに占拠されているのか。

「まずは片づけよう、将軍!」

ぐるりと回り、採石場の外にいたレイダーたちはおおよそ片付けた。
先を歩くプレストンの向こう側に、荒らされた町の景色が見えてきた。

「プレストン」
「どうした、将軍。」

プレストンは振り返らずに応える。

「ここは」
「そう、ここはクインシーだ。我々の旅路のスタート地点。苦難の始まり。」
振り返った顔に少しだけ、悲哀の色が見えた。

クインシーの虐殺。
プレストン本人からも、ニックからも少しだけ聞いたことがある。
ミニッツメン内部で裏切りがあり、ここから生き残りを連れて新しい居住地を探しての逃避行。
最終的にはコンコードで俺に出会った、と。

「あんたに知っておいて欲しくてな。」
「何を?」
「俺が・・・どれだけアンタに救われたのか、を。」


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