DiMAが付けてくれた地図の印を確認しつつ、ニュークリアスを目指す。
周りに放射能が満ちたドラム缶が浮いている池のような場所の中に、彼らの基地があった。
ファーハーバーの住人が、チルドレン・オブ・アトムの奴らが霧を作り出していると言うのも強ち否定できないような様相だ。
「George、大丈夫か?」
「まったく・・・なんだってこんな場所に基地なんぞ作るんだ。」
「人間の信仰というものの、なせる業かね。」
中から何やら言い争うような声が聞こえてくる。
ニックと顔を見合わせ、様子を窺う。
信者らしき人物2人が尋問のようなものを受けている。
そのうち一人は指示に抗ったのか、あっという間に片付けられてしまった。
仲間割れか?
どう声をかけるか考えていると、先ほど信者を詰問していたチルドレン・オブ・アトムの幹部らしき男が銃をこちらに向けて睨みつけてきた。
「なんだ、お前たちは。ファーハーバーからの使いなら、とっとと帰れ。」
DiMAから穏便に事を進める様に言われていることを思い出す。
今回の件は、ファーハーバーは無関係だしな。
ファーハーバーとは関係がないことや連邦からやって来たことを告げるとリヒターと名乗る男は、仲間に加わる為に来たのかと重ねて尋ねてくる。
※注意!
ここでの選択は、”チルドレン・オブ・アトムの入信クエストを受けてニュークリアスの中に入る”か”力づくでニュークリアスに入る”の2択となり、この先のメインクエストの選択肢に大きく影響あり。
今回は”入信クエストを受ける”選択肢で進めます。”問答無用”編も後で書くつもり。
「あー、そうだな。あんたたちの教団に興味があってな。」
俺の棒読みの台詞に、後ろにいるニックが思わず吹き出しそうになる。
リヒターはチルドレン・オブ・アトムに入信するためには、試練を受ける必要があるという。
怪訝そうな顔をする俺に向かって、泉の水を飲み、あるものを受け取ってこいと告げる。
「あるもの?それはなんだ?」
「それは、しるし。いや・・・経験とでも言うべきか。」
「どういうことだ。」
「試練を受ければわかる。」
これ以上の説明を行う気はないようだ。
クエスト:Vision In The Fog
仕方がない。
リヒターの言う”泉”とやらに行って、試練をとっとと片付けることにしよう。
ニュークリアスから然程遠くない場所に、その”泉”とやらはあった。
俺の知っている”泉”とは、どうも違うようだが。
「・・・おい、George。」
「ニック。言わなくていいから。」
「これを、飲むのか?」
どう見ても高濃度の放射能を含んだ水。
ままよと口に含むと、意識がぐるりと回転した。
周りが緑色の霧のような、煙のようなものに包まれて見える。
ふと目を凝らすと、人影のようなものが手招きしている。
ニックが止める声を遠くに聞いたような気がしたが、俺は人影を追いかけていた。
人影が指さす方を見ると、倉庫のような建物がある。
あそこに何があるというのだろう。
言われるがままに、建物の中を探索する。
ターミナルでロックされた扉がある。この中に必要な”しるし”があるのか?
パスワードがないと開かないタイプのターミナルだ。
どこかに手がかりがあるはずだ・・・。
建物の中をくまなく探す。
パスワードを入力し、扉を開ける。
中には、アトムの輝きと記されたメモと・・・像が一つ。
これを持ち帰ることにしよう。
建物から出ると、ニックが俺の首根っこを掴んでRad-Awayを口の中に無理やりねじ込む。
「George!!」
なんとか飲み込むと緑色の靄が目の前から晴れて行くのを感じた。
「死ぬ気か。」
「いや、すまん。ニックは・・・人影のようなもの、見たか?」
「人影?そんなものはなかった。あんた、1人で走り出して俺の呼び声も聞こえちゃいないようだった。」
放射能の影響で幻影を見たのだろうか。
とりあえずリヒターに像を持って行くとしよう。
泉から戻ってきた俺たちを見て、リヒターは少し意外というような顔をした。
更に、人影を見たことを告げ、像を手に入れたことを話すと、その表情は驚きに変わった。
俺が見た人影は”霧の母”と呼ばれる存在らしい。
チルドレン・オブ・アトムたちを、この場所に導いた存在。
姿を見たと言うならば、チルドレン・オブ・アトムに入り与えられた使命を果たすべきだとリヒターは続ける。
ニックが後ろで、これ以上の深入りは止めておけと呟いた。
俺もDiMAの記憶を取り戻す以上に、チルドレン・オブ・アトムに関わるつもりはない。
曖昧に返事をすると、ニュークリアスの中に入ってテクタス上級聴罪司祭に像を渡すようにとリヒターは言う。
クエスト:Vision In The Fog 完了
リヒターは、後ろを振り返らずに建物の中へと消えて行った。
よし、これでニュークリアスの中に入っても大丈夫だな。
さっさとDiMAの記憶を手に入れようか。