できることなら、セバスチャン・ロートと話をして斧だけ手に入れたいとilexは考えていた。
そんなilexのことなどお見通しと言わんばかりにバルバスが、都合のいいことを考えないようにしなと呟いた。
慎重に洞窟の中を進んで行く。
炎の精霊が見張りをしているのかウロウロしている向こう側に、魔法使いが佇んでいるのが見えた。
ilex:声をかけてみるから、いきなり手を出さないでね
バルバス:無駄だと思うけどな
リディア:従士様の言うことをお聞きなさい
バルバス:わかったよ。でも、あいつが襲い掛かってきたら手加減はできないと思っておいてくれ
ilex:・・・OK。それでいいわ
符呪を行う台に向かっているセバスチャン・ロートに後ろから静かに声をかける。
振り返る彼の瞳には怯えと狂気。
言葉にならない叫び声を上げてilexに向けて手を振り上げ魔法を放とうとした瞬間、バルバスが突進し喉笛に喰らい付く。
あっという間に勝敗はついた。
足元に倒れ伏すセバスチャン・ロートに、斧は貰って行くねと呟いてライムロック窟を後にした。
なんとなく真っ直ぐハエマールの不名誉に戻る気にならなかったilexは、ロリクステッドに立ち寄ってエリクが防具を揃えて貰ったか確認しようと言い出した。
畑にいるかと思ったが、エリクの姿はない。
とりあえず一休みさせてもらおうかと宿屋フロストフルーツの扉を開けて中に入る。
虐殺者エリク:やぁ!また会えたな!経験はないが勇敢な傭兵を雇う気はないかい?
ilex:エリク?・・・ん?虐殺者エリク??
リディア:また大層な二つ名を・・・
虐殺者エリク:鍬使いのエリク、牛追いのエリクなんて格好悪いだろ?
ilex&リディア:う、うーん
虐殺者エリク:経験不足は勇気で埋め合わせするさ!
ファルクリースに行く用事があるけど一緒に来るかと尋ねると、飛び上がらんばかりにエリクは喜んだ。
ムラルキが心配そうに、こちらをちらちらと見ていたが、エリクの話し相手がilex一行とわかると安心したのか飲み物や食べ物を振舞い出した。
エリクを傭兵として雇うことやファルクリースに向かうことをムラルキに伝える。
ファルクリースに辿り着くと、エリクはきょろきょろと周りを見渡した。
こんなところまで遠出するのは初めてだよ!と興奮気味だ。
虐殺者エリク:あれ?ファルクリースを抜けるのかい?
ilex:あー・・・。ごめん。ファルクリースの、その先にある洞窟が目的地なの
虐殺者エリク:へぇ?一体どこなんだい?
バルバス:ハエマールの不名誉ってとこさ
虐殺者エリク:ハエマールの不名誉?聞いたことないな。・・・あれ?
バルバス:デイドラの王子クラヴィカス・ヴァイルの祠だ
虐殺者エリク:い、いぬ・・・?
バルバスがエリクに向かって、フンっと鼻息で返事をした。
リディアが慌てて経緯を説明する。
峠を越えて、ハエマールの不名誉へと進んで行く一行。
洞窟の中ではバルバスが先頭を駆けて行くので、駆け足で後を追いかける。
クラヴィカス・ヴァイル像を見てエリクが感嘆の声を上げた。
2人を後目に、クラヴィカス・ヴァイルに声をかける。
悔恨の斧を持ち帰り、更にバルバスと一緒なことを確認するとクラヴィカス・ヴァイルは上機嫌な声でilexに応える。
斧をお前にやってもいい。但し、犬っころを斧で殺せ。そうクラヴィカス・ヴァイルは持ち掛けてきた。
斧・・・。
あんな重たい物、いるわけないじゃない。と直球で答えたいところだったがデイドラの機嫌を損ねるのも面倒な話だ。
ilex:斧は・・・返すわ。バルバスを戻してちょうだい
クラヴィカス・ヴァイル:なんだと?つまらんやつだな!
ilex:つまらなくて結構。
クラヴィカス・ヴァイルは舌打ちして、バルバスを呼び寄せた。
バルバスが石像へと姿を変える。
クラヴィカス・ヴァイルは、その後ilexを脅す様にぶつぶつと文句を言っていたが、褒美としてクラヴィカス・ヴァイルの仮面を投げてよこした後は、それっきり沈黙してしまった。
仮面という名前だが、頭部をすっぽりと覆い隠す兜のような代物だ。
※売買の価格が20%良くなる。話術スキルが10ポイント増加する。マジカの回復が5%早くなる
仮面はそこそこ重量がある。
イリアにも会いたいし、レイクビュー邸で荷物の整理をすることにしようかなとilexは考えた。
リディアとエリクに声をかけ、レイクビュー邸へと向かうことにする。