Fallout4~Where You Belong(1)

Fallout4~Where You Belong(1)

天文台らしき場所。
ここが・・・アカディアか。

扉を開け、中へと入る。

真ん中の部屋に、何かいるのが見えた。
ニックが腰に挿したリボルバーに手をかけ、頷く。

あれは、なんだ?

頭や体に無数のチューブやら何やらが繋がっていて・・・人造人間であることは間違いなさそうだが、こんな姿の人造人間は初めてた。

「あんたは・・・一体なんなんだ?」
「私ですか?私は、山の上の年老いた人造人間ですよ。」
「・・・それは、見ればわかる。」
「それよりも。あなたこそ、何故こんな場所に?」

一瞬逡巡したが、正直にカスミを探しにきたことを伝えた。

DiMAと名乗る人造人間は、ここアカディアのリーダーらしい。
カスミがここにいることは確かなようだ。話をすることに異議を唱えるようなことは言われなかった。
そして、人造人間について知っていることはあるかと聞かれたのでニックと付き合いがあると答える。

DiMAは、俺の後ろに立っていたニックをまじまじと見つめた。
「ニック・・・?貴方に会える日が来るとは、夢にも思っていませんでした。」

声をかけられたニックは訝し気だ。
ニックとDiMAはインスティチュートで創り出された人造人間で、ニックは警察官の記憶を植え付けられ、DiMAは自身で思考することで人格を形成する実験が行われていたという。

何度も、何度も、繰り返し記憶を植え付けられる実験を施されるニックを、インスティチュートから逃す手伝いをしたのはDiMAだったと言うのだ。

「俺は・・・。」
余りの事にニックは言葉が出てこない。

そしてDiMA自身もインスティチュートから逃げ出す。

言葉を切るとDiMAは俺に向き直り、覚えている一番古い記憶は何かと聞いてきた。

「・・・何が言いたい?」
「どこか現実味がないと感じられることはありませんか?誰かが・・・記憶を書き換えたのかもしれません。」
「俺は人間だ。爆弾が落ちた、あの日を覚えている。」
「それ以前は?例えば・・・初めてキスした日のこと」

爆弾が落ちて、Vaultで冷凍されて、ノーラが殺された、あの記憶が誰かに書き換えられた記憶だとしたら。
思いがけない感情が体の中を駆け巡る。
拳をぐっと握りしめ、心を落ち着けるとDiMaに向かって礼を伝えた。

「・・・ありがとう。色々と考えさせられた。」
俺の言葉にDiMAは少しほっとしたようだった。
「そう言ってもらえると私も嬉しいです。アカディアは貴方たちを歓迎しますよ。」



DiMAにチェイスとファラデーに挨拶するように言われたので、カスミを探すついでに声をかける。


サイドクエスト:The Arrival


サイドクエスト:Data Recovery

2人からの頼まれごとを引き受ける。
アカディアがどんな場所なのか、どんな人物がいるのか知るにはいいだろう。

カスミは地下でなにやら作業を行っていた。
声をかけると振り返りもせず、戦前のガラクタを直して使えるものにしようとしているだけと答える。

ふと、見知らぬ人物の声だと気づいたのか、ようやくこちらに顔を向ける。
「あなた達・・・誰?」

カスミは一瞬泣きそうな顔をしたように見えた。
そして、父と母という言葉を”世話をしてくれたあの人たち”と言い換えた。
真実を知ったら、私の事なんか探そうとなんて思わないわ。

ニックの方を振り返るが、何かに気を取られているようで心ここにあらずの様子だ。

「カスミ。あんたは混乱しているだけだ、と俺は思う。自分の存在について疑問を持つことは誰にでも・・・起こり得る。」
「本当に・・・心からそれが真実だと願っているわ。私が人造人間でなければ問題ないのに。」

アカディアが、思っていた場所と違っていたことも気にかかるとカスミは言う。

大きな秘密を隠している、そう言うのだ。
その秘密を探って欲しいと頼まれた。

DiMAたち3人しか入ることができない部屋があり、そこから出てくると毎回言い争いをしているらしい。

DiMAは、ここアカディアに多くの人造人間を集め、自分自身を知ってもらうこと、そしてそれを受け入れてもらうことが望みだと言っていた。
人造人間が自分を知る。本当にそんなことが可能なんだろうか。
ニックは、本当に苦しんでいた。自分の記憶が警察官のニック・バレンタインのものであることに。

「我々は真相を突き止めなければな。」
ニックの声に我に返る。

カスミには直接DiMAに確認することを約束して、その場を離れた。



少し離れた場所でニックが、どかりとベンチに腰をかけた。

「大丈夫か、ニック?」
「ん?ああ。まぁ、正直なところ少し混乱している。」
「覚えて・・・いるのか?DiMAのこと。」

ニックは首を振る。
「いや。今の今まで、インスティチュートから逃げ出したのは俺だけだと思っていた。」
ポケットからくしゃくしゃになったタバコを取り出すと、咥えて火をつける。
ぼんやりと、その煙を見つめていた。

「俺に・・・兄弟のようなものがいたとはな。」




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