男性陣が珍しく全て出払った日の午後。
(アルケイドはオールドモルモンフォートへ、ブーンとラウルは武器の手入れをするためにラウルの小屋へ)
珍しく新鮮なリンゴと小麦粉、バターも手に入ったのでリリーがアップルパイを作ろうと言い出した。
ルシアはキャスと一緒にリリーにレシピを聞きながら焼き上げ、買い出しから戻ったヴェロニカと4人でお茶にすることに。リリーが折角だからと、美味しいお茶まで入れてくれた。
女性陣4人はあれやこれやとお喋りに花が咲いた。足元でレックスがのんびりと寝そべっている。
「この間、ルシアとネリス空軍基地に行ってきたんだけどさ。入り口にいた子、結構好みだったんだよね」
「キャスはイケメン好きだからなぁ」ヴェロニカが混ぜっ返す。
「ばあちゃんは、顔だけの男は好きじゃないね」
「えー!じゃあ、リリーはどんな人がいいの?」
「そうだねぇ。逞しくてしっかりした男かねぇ」
あ、と何かを思い出したルシアが、もじもじしながら質問をした。
「あ、あのね・・・」
3人の視線が集まる。
「男の人って・・・、やっぱり、こう・・・グラマーな人が好き?」
キャスが茶を吹き出し、ヴェロニカはアップルパイをこぼした。リリーは大きな手でルシアの頭を撫でて聞き返した。
「私のかわいい子。どうしてそんなことを聞くんだい?」
「えと・・・。この間、ベニーのところに行ったときにね。私の姿を上から下まで見て・・・こんな子供だったかって言ったの。」
「あんのクソ野郎」キャスが舌打ちする。死んで当然だね!と相槌を打つヴェロニカ。
「それだけじゃないね?」リリーが、お見通しだよと言わんばかりに先を促す。
ルシアは耳まで赤くなった。何かをもぞもぞと呟いた。
「ブ、ブーンさんの・・・奥さん、美人だったんだって」
「うん」
「派手な人だったって言う人もいたけど、きっと綺麗でスタイルも良くて・・・」
「あいつに言われたの?俺は美人でグラマーは好きだって?」ヴェロニカがアップルパイを頬張りながら聞く。
「ううん。でも、俺にぴったりだったって言ってた。つまり、そういうことでしょう?」
「それで、諦めるのかい?」リリーが聞いてきた。
「え?」
「あんたの中の、好きって気持ちをなかったことにできるのかい?」
ルシアが頭を大きく振った。
「じゃあ、いいじゃないか。ばあちゃんはいつでも味方だよ。」愛しそうにルシアの頬を大きな手で撫でる。
私たちだって!とキャスとヴェロニカが立ち上がる。
さっきまで泣きそうな顔をしていたルシアも破顔一笑。へへ、と笑って残りのお茶を飲み干した。
そこへアルケイドの声が聞こえてきた。「ルシア!ちょっと手伝ってくれないかー!?」
「はーい!」
キッチンから走り出て行くルシアを見送ってヴェロニカが呟いた。
「ブーンはさ、自覚ないのかね。ルシアとラウルが仲良くしてたら不機嫌になったんだよね。絶対焼きもちだと思うんだけど」
「あー、あいつそういえばBlackWidowをルシアが取った時、すごい機嫌悪くなってさ。アルケイドとあたし八つ当たりされたようなもんだわ。」
「死んだ奥さんに悪いとか余計なことを考えていると、ばあちゃんは思うね」
女3人で喧々諤々と話をしているところに、ひょっこりアルケイドが顔をのぞかせた。
「ルシア、機嫌良いみたいだけど、何かあった?」
キャスがにやりと笑った。
「ねえ、ルシアを幸せにする会に入らない?」