À bon chat, bon rat.

ヘルゲンでの騒動をようやく切り抜け、レイロフと2人リバーウッドへ向かう。

Erdeはダークウォータークロッシングで運悪く、帝国とストームクロークの小競り合いに巻き込まれてしまったようだ。
しかし・・・全く記憶が戻ってこない。

ダークウォータークロッシング近くで、一体私は何をしていたの?
不安そうな顔のErdeを見て、レイロフが馬車で運ばれている時に船がどうのと呟いていたことを教えてくれる。

リバーウッドで休んでいくようにレイロフは言ってくれたが、それを断りダークウォータークロッシングを目指すことにする。


山賊や狼を相手にして、なんとかダークウォータークロッシングに辿り着いた。
辺りを見渡すが、心に響くものもなく期待は裏切られる。
気落ちして火の傍に座り込むと、女性が1人近づいてきた。

アネックと名乗る女性は、Erdeのことを覚えていた。
「あら、あなた。ソルスセイムへ行くって言ってたけど、どうしたの?」
「ソルスセイム・・・?どこ?」
戦いに巻き込まれ、ヘルゲンで処刑されそうになったこと。
以前の記憶がまったくないことをアネックに告げる。

アネックがErdeを痛ましそうに見つめる。
「誰かを探している風だったわよ。確か・・・恩人とか言ってたわ。」

アネックにソルスセイムへ渡るにはウィンドヘルムから出ている船で行く必要があることを教わった。
食べ物や使っていない武器や防具も貰って、早速ソルスセイムへ向かうことにしよう。



ソルスセイムはスカイリムのどことも風景が違っていた。
住んでいるのは、ほとんどがダンマーだ。家の形も・・・見たことがない。

ソルスセイムの住人にもErdeのような存在は珍しいようで、行く先々で声をかけられた。
ここに来れば、アネックが言っていた恩人とやらのことを思い出すかと思ったが、そんな簡単な話ではなかった。

さすがに疲れたので、宿屋で休むことにしよう。
薬を買うために立ち寄ったミロール・イエンスのところで、宿屋レッチング・ネッチの話を聞く。
不思議な形をした建物の中に宿屋があるらしい。

中に入ると、人がたくさんいる。仕事を終えて喉を潤しに来ている人たちだろう。
ふと、その中にひと際目を引く鎧兜を身に着けた人物がいることに気が付いた。

・・・あれ?
頭の中で何かがちらついた。

思わず近づいて行く。
周りの人たちも、毛色の違う人物が急に現れたことに少々驚いているようだ。Erdeの挙動を見守っている。

Skyrimでは見たことのない兜を被ったその人物の前に立ち、じっと見つめる。
「・・・私になにか用か?」

この声。
思わず眉を顰める。聞き覚えがあるような、ないような。
じっと見つめるErdeを、相手もまじまじと見つめ返す。
すると、何か思い当たったのか立ち上がってErdeを指さした。

「・・・?お前・・・Skyrimで助けたキャラバンにいたな?」

その言葉で、一気に何が起こったのかを思い出した。



Erdeは家族でキャラバン隊として、ソリチュードを目指していた。
しかし山賊に目を付けられ、ずっと追い回されていたのだ。
大きな街道から少し道を外れたところで、とうとう山賊どもが襲い掛かってきた。
父や母、兄もErdeも必死に戦った。

そんなところに、ノルドの雇い主とSkyrimに来ていた男が手助けをしてくれたのだ。
Erde達を襲った山賊の首を嬉々として刎ねると、ノルドと男は山賊の砦を壊滅させると言って立ち去って行った。

「それで、お前はここで何をしている?」
男の言葉で我に返る。
「あ・・・お礼を言いたくて」
「礼?そんなものを言うために、ソルスセイムまで来たのか?」呆れた様子だ。

「キャラバンはどうした」
「もう・・・何もないの」
折角助けて貰ったのだが、父母に兄の3人は深手を負っていた。
近くに村もなく、持ち合わせの薬もないため夜には息を引き取ってしまったのだ。
3人をSkyrimの冷たい土に埋めてやったErdeは、助けてくれた二人組に礼を言って・・・それから故郷に帰るか命を絶つか。

「・・・私は腕の立つ傭兵だ。金さえ払って貰えるなら、お前を守ってやることができるぞ。」

思わず男を見つめる。
「あの人は?Skyrimで一緒にいた男の人。」
「前の雇い主は・・・まぁ、恐らく死んだんだろうな。山賊の砦に1人で突っ込んでいったよ。」

急いで胸のポケットにしまっておいた財布の中身を確認する。
男が提示してきた金額ぎりぎりだ。Skyrimに戻ったら、しばらくの間金を稼がないと駄目そうだ。
それでも、この人がいたら・・・安心できそうな気がする。
たった1度助けてもらっただけで、信頼するのも笑われるかもしれないが。

Erdeが金を支払うと満足そうに頷いた。
「私はテルドリン・セロ。よろしくな。」

急に気が抜けたのかErdeはへなへなと床に座り込んだ。
やれやれと溜息をつき、セロが手を貸して立たせてくれた。
「さて、これからどうするんだ?」
「Skyrimに戻って、ホワイトランに行くつもり。」

レイブン・ロックからウィンドヘルムへ戻る船の中で、久しぶりにErdeはぐっすりと眠ることができた。

「À bon chat, bon rat」終